mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

皆の者、武器を取れ。物事の順序守るは一大事なり

モーツァルトの歌劇♪フィガロの結婚について考え込んでいた




第3幕において場の順序が台本通りだと話の筋が不自然になる、ということで、最近は順序を変更するのが一般的になっている。(アバド盤、ガーディナー盤、クイケン盤、ハイティンク盤など)
そこでガーディナー盤LD(POLG-1164/5)のガーディナー自身による解説をもとに、第3幕の場順の変更について下に記す。

まず、台本通りの第3幕(全14場)の第10場までの配列を挙げておく。

第1場・・・伯爵の独白「何ともわけがわからぬ」
第2場・・・伯爵夫人がスザンナに「いいこと。庭でと言うのよ」
      ~伯爵とスザンナの会話と二重唱「なぜ今までつれなかった」
第3場・・・前景を退場したスザンナがフィガロに「訴訟は勝ちよ」
第4場・・・伯爵が前景で「訴訟は勝ち、だと!」
第5場・・・訴訟の場~フィガロがマルチェリーナの子とわかる~6重唱
第6場・・・伯爵・クルツィオ退場し4人で前場に続き「殿様は御立腹」
第7場・・・バルバリーナがケルビーノに「行きましょうよ」
第8場・・・伯爵夫人「スザンナはまだのようね」~アリア「あの美しい時はどこへ」
第9場・・・アントニオが伯爵に「まだケルビーノはお城にいます」
第10場・・・伯爵夫人とスザンナ「何て話でしょ」~二重唱「そよ風によせる」

これを、1965年に発表されたロバート・モウバリーとクリストファー・レイバーンによる「モーツァルトフィガロ第3幕のプラン」では次のように配列しなおすのである。

第4場・・・伯爵が前景で「訴訟は勝ち、だと!」
第7場・・・バルバリーナとケルビーノ
第8場・・・伯爵夫人「スザンナはまだのようね」「あの美しい時はどこへ」
第5場・・・訴訟の場~フィガロがマルチェリーナの子とわかる~6重唱
第6場・・・4人で前場に続き「殿様は御立腹」
第9場・・・アントニオが伯爵に「まだケルビーノはお城にいます」
第10場・・・伯爵夫人とスザンナ「何て話でしょ」~二重唱「そよ風によせる」

第5場でスザンナが、フィガロをマルチェリーナとの結婚から守るために金を手に入れて訴訟の場にやってきて6重唱に加わるのだが、従来の順だとその金はどこから持ってきたのかわからない、という大問題があった。また、スザンナが第2場で夫人と分かれた後、第10場まで夫人のもとに行っていない、というのも間があきすぎていた。
しかし、この変更をほどこすことによって、夫人が「スザンナはまだ」「あの美しい時はどこへ」と歌った後まもなく、スザンナが夫人に会いにきて金をもらって訴訟の場に登場する、という展開を想像できるのである。
 
http://classic.music.coocan.jp/opera/mozart/figaro.htm )
 




従来の順序だと、小間使いが奥方様をお待たせし過ぎだからね




でもさ、伯爵夫人がフィガロの身請け金を渡すって無理ある気がする
伯爵夫人ロジーナといえば、結婚前の♪セビリアの理髪師では、バルトロに狙われるほどの持参金持っており
爺さんを観念させるため、伯爵が「んなもんイラネ」、ロジーナも「彼氏がいればいいもん」と放棄した
という事は、伯爵夫人は無一文で嫁ぎ、実はセコイ旦那の渡す小遣いしか自由にならないのでは???




個人的には…
「殿様が領民の初夜権復活イヒヒヒと考えるほど魅力的
奥方様から亭主のアホンダラぶりを相談されるほど信望厚い
そんなスザンナともなれば、基本給も賞与もタンマリ頂け、預貯金バッチリ☆
男の一人や二人、BBAの魔手から救うなんざ朝飯前、お安い御用
フィガロとて男の面子ってもん持ってるから、BBAが取り立てに来ようと、肩代わりしなかっただけの話
しかしながら、フィガロ貞操の危機及びスザンナ行かず後家危機に瀕しては、やむを得ない
フィガロが後でツベコベ文句垂れようと、女にも売れ残りは恥という面子かかってる以上、問答無用!」
…スザンナが預貯金切り崩した説、これも無理???




曲順変更といえば、第四幕も面白い




ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
ロドニー・ジルフリー、ヒレヴィ・マルティンペルト、ブリン・ターフェル
アリソン・ハグリー、パメラ・ヘレン・スティーヴン

ARCHIV。LD。1993年6月、パリ、シャトレ座。演出ジャン・ルイ・タマン。

これほど、1つ1つの役柄がはっきりと作られたプロダクションはめったにない。
第3幕は、上記のモウバリー/レイバーン説で構成している。
また、第4幕では「現存する資料では理想的な第4幕を構成できない」としつつも、第27曲のフィガロレチタティーヴォ「用意はできた~ああスザンナ、何て俺を苦しめるんだ」とアリア「少しは目を開けろ」を、第28曲のスザンヌのアリア「さあ、素敵な喜びよ、早く来て」を挟むように配置する、という新基軸を打ち出している。
つまり、フィガロ「用意はできた」~スザンナ「早く来て」~フィガロ「ああスザンナ、何で俺を苦しめるんだ~目を開けろ」となるわけで、これは全く筋の通った解決法である。これは、ガーディナーの練習指揮者の1人ニコラス・マクニールの提案によるものだという。
Le Nozze Di Figaro - Deh vieni non tardar
Recorded at the Queen-Elizabeth Hall,..The South Bank Centre, London.
Stage Director: Raquel Barbieri




『Walter Felsenstein - Portrait』
オーストリア出身の演出家ヴァルター・フェルゼンシュタイン
1947年にベルリン・コーミッシェ・オーパーを設立し、1975年まで芸術総監督の地位にあった
最晩年か没後に映像収録された、ドイツ語上演による♪フィガロの結婚が遺されている
ちなみに、後年商品化されたのは、日本のおかげ様だってよ
旧東ドイツ規格機械での再生が、日本の技術でしか不可能、日本側も諸事情からギリギリセーフに感謝せよ
この映像は、LDとDVD両方発売されたので、興味沸いた方は中古屋とかAmazonを検索してみましょ
フェルゼンシュタイン演出が、第四幕のスザンナ→フィガロ順の先駆けわかる




ガーディナー盤、LDは売り飛ばしちゃった
CDはまだ持ってるんで、幕切れ部分を思い出しながら聴いてみっか

Mozart - Nozze di Figaro - act IV - "Contessa perdono"

Contessa perdono, perdono, perdono♪、こんだけで至上の音楽だっちゅうのに…
映画‘アマデウス’では、コンスタンツェとレオポルド、嫁と舅の口論場面に流れた
モーツァルトは黙って作曲続けたもんで、「何やってんだ、このファザコン息子めがヽ(`Д´)ノ」とツッコンダわ
伯爵の方は悪事実らず、皆に凹まされた伯爵が、奥方に「ゴメンしてね・゚・(つД`)・゚・」
謝罪は当然の事、けど殿様ともあろう御方が下々の前で土下座とは、何ちゅう甲斐性無しよ腹立つ~
喉元過ぎれば、オトコの甲斐性とばかり浮気を再開しおって、そりゃ奥方も小姓に走るわな




ロドニー・ジルフリーといい


ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウといい
「何で、こんなサル顔がモテるの(´ε`;)…」なんだけどね
「さては、ロジーナの持参金を、結婚後に回収した?それか、バルトロが伯爵相手に怒ってる理由は~」




何が言いたい記事?
フィガロの結婚に関するいろいろ思い出したまで




まだまだ続くため、次記事へと続く