mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

Adieu…人の世で儚く散るも、終わりの来ない国で黄金の夢を見る

芸術の秋ね(食欲の秋は一応、第二義に置いてある)
演奏会行く余裕無いもんで、人生もうじき半世紀にしてはサイコー級記憶力頼りのオペラ記事をば




【カタルーニャの貴公子たち】(2011年5月4日)
「王子と呼ばれる者に
正真正銘・詐称問わず、男前・イケメンどっちも希少価値、浮き世のさだめ
笑われても強引に言い張る場合、世界中探し歩いたって、ブサイクと相場が決まってる」
大英帝国のチャールズとその次男坊を見りゃ、誰の目にも明らかですわな
スポナビ様おうじを皆様にお見せ出来ないのが、奴さんの顔以上に残念無念な世の無常を感じる




「スペイン国王フェリペ2世の倅であるアストゥリアス公カルロス
史実とヴェルディ先生の歌劇では、誇大広告並みに落差が見られます
もっとも、歌劇版ドン・カルロスにも、歌手の落差は見られる哀しさ
プラシド・ドミンゴは、そりゃまぁスペインの首都出身ながら、濃い顔が暑苦しいっちゅうねん
大食いイタリア人ルチアーノ・パヴァロッティは、親よりも年上やろなヒゲ親父」
ホセ・カレーラスも今年69歳迎える爺さんだし、今年まだ28歳のセスクが代わりに歌う妄想して




モデル級美男美女が大声張り上げる現代オペラ界
現代基準の歌手しか知らない世代にはさぞかし、白熊野郎や百貫アマゾネスはイタイと思われる
mathichenさんも綺麗なおねえさん好きなので








ドン・カルロスに登場するエボリ公女
モデルは、16世紀に実在したアナ・デ・メンドーサ
フェンシングで右目を失っていたが、スペインで最も美しい女性の一人で、才能にあふれた女性であった
だったら歌手も美女でないと、「おお呪わしき美貌」など、脳ミソ沸いてるのかとツッコミ入れたくなる
その点、ヴァルトラウト・マイアーおねえさんはフランス語の発音さておき、舞台姿サイコー級☆
こんだけの美女が、嫁の女官であれば、手を出す亭主族続々に決まってる




嫁の女官に手を出す
ドン・カルロスに於いては、フェリペ2世を指す
3人目の王妃としてフランスから迎えたエリザベート・ド・ヴァロワが、どーも怪しい
倅のカルロスと相思相愛でないかと疑い、果たしてその通りだった
王子に岡惚れするエボリが、王子の絵姿を忍ばせる王妃の宝石箱を盗み、王に密告
王はガックリ来て、浮気しちゃう次第
「ワタクシは、貴方の御子息と婚約しておりました
しかし神が貴方を夫と定めたからには、白百合のように清い身を持って、スペインに嫁いで参りました」
宝石箱泥棒を夫に訴える妻とのやりとりから、夫は妻の無実を知って後悔しきり(死ぬまで土下座しやがれ)




王妃は王妃で、世の無常を儚んでいた








フィンランド出身のカリタ・マッティラ
題名役のロベルト・アラーニャと並ぶと、彼が大木の蝉状態になる大女ながら美女だから気にしない気にしない
マイアーおねえさん映像と同じ1996年パリ・シャトレ座のが見つからな~い
同じ頃にほとんど同じ布陣でのコヴェントガーデン王立歌劇場公演の音声で我慢する




カトリックの牙城スペインのプロテスタント弾圧に苦しむフランドル地方
フランドル救済のため旅立つ王子と今生の別れを果たすべく、サン・ジュスト修道院を訪れる王妃
王子と出逢った時を忍び、魂の救いは天上にあるのみと嘆くのだが…




カルロスとエリザベートが出逢ったのは、彼女の母国フランスで、フォンテーヌブローの森の中
この場面、四幕版では割愛され、五幕版の第二幕、サン・ジュスト修道院の場面から始まる
カルロスが独り、エリザベートを想い、ウジウジ泣くのよ
オペラ開幕いきなりだと、正直な感想、女々しく映るのが困る
「諦め悪い男だね。彼女はもう人の嫁、お前の継母だ。我がママに関して我儘言うな~」てな感じ
カラヤンの舞台で歌ったカレーラスでさえ、アタシゃTV画面殴りそうになった
TV機会壊さないためにはやはり、フランス語だろうとイタリア語だろうと、五幕版に限るわ




フォンテーヌブローの場面を説明すると




カトー・カンブレジ条約により、交戦続けていたスペインとフランスが和平を締結する運びとなり
この結果、スペイン・ハプスブルク家とフランス・ヴァロワ家の間に婚姻関係が生まれる
アンリ2世と妃カトリーヌ・ド・メディシスの第ニ子(長女)エリザベートが、カルロス王子に御輿入れと決まった
カルロスは待ち切れず、一目エリザベートを見たくて、お忍びでフランスへ赴き、目的を果たした
のみならず、森で迷子になったエリザベートと話す機会を得る
カルロスが自分をスペインの使者と名乗ると、エリザベートは「カルロス様の御国の殿方なら安心ね」
彼女にお供していた小姓ティボーが助けを求めに行く間、エリザベートはカルロスについていろいろ質問
カルロスがロケットに仕舞ってあったエリザベートの絵姿を見て、「キャ~♪貴方が、カルロス様なのね☆」
王侯貴族の結婚なんて、結婚式当日に初めて顔合わせであり、どんなブッサイクで基地外と御対面やら?
一目逢ったその日から恋の花咲く事もあるとは、カルロスとエリザベートが如何に僥倖に恵まれたか知れる
…悲しみは駆け足でやって来る(そんな題名のモーツァルト旋律歌謡曲、大昔にあったな)
スペインとフランスの和平を示す祝砲が聞こえ、ティボーが廷臣たちと一緒に戻り、「王妃様」と呼びかけた
「あら嫌だ。ワタクシは、王太子妃になるのよ」「いーえ、王妃様になられるのです~」
大人の事情か、エリザベートは息子でなく父親の方と結婚し、一足飛びに王妃と決まった模様
王の使者レルマ伯爵の説明から、フェリペはエリザベートの意思を尊重すると聞き、一瞬、安堵するも
周囲に集まる民衆の「姫様、お受け下さいまし。皆もう、戦争に疲れました」との懇願を聞けば?
「自分の一言に、欧州を牽引する強国であるスペインとフランス、引いては世界の命運が懸かっている」
当時まだ14歳の小娘といえど、王女としての自覚と責任が、「お受け致します」を引き出した




…それでも胸中ではやはり儚き小娘なればこそ、悲哀は深まる一方なのよね
そして、ユグノー虐殺の黒幕カトリーヌ・ド・メディシスの娘だけあって、熱心なカトリック教徒であり、潔癖である
王の浮気相手エボリに、国外追放もしくは修道院入りを命じた
往生際悪いカルロスには、王冠の重みを訴え
「まず、父上を殺して来なさい。父を殺めた血まみれの手で、母を祭壇に導けばいい!」
どれだけの苦悩を抱えていたやら計り知れない




ま、欧州に伝わる風聞を下敷きにした作品であり、王子と継母の邪恋の真偽は不明
宮廷中の嫌われ者王子に唯一人優しかったのが、さほど年変わらぬ若い王妃じゃ、そりゃ誰でも邪推する
しかも元の戯曲書いたのが、フリードリヒ・フォン・シラーと来たもんだ
ハプスブルク憎しの手にかかれば、んなもん、大英帝国タブロイド紙に勝る邪推に基づくと邪推する
ヴェルディ先生の方にも、横暴極まる権力への抵抗意識が流れていた
ベルばら同様、あくまで史実を混じえた娯楽作品という方向でお願いね
90歳くらいの宗教裁判長から見るといまだ小僧であるフェリペ含むと、青春群像ってか???