『犬神家の一族』で始まり『犬神家の一族』に戻って幕引きした格好ね
けど、第5作『病院坂の首縊りの家』を調べると
前作まで監督を担当した市川は、前作『女王蜂』でシリーズ終了を宣言していたため
当時、舞台の演出経験もあった主演の石坂が監督を兼任し、市川は石坂の補佐に回る予定で話が進められた
しかし企画をした角川春樹事務所から「これは新作だ」「過去作ならともかく、新人監督では困る」とクレームが入り
結局、市川が監督をすることになったという
2006年版『犬神家の一族』については、良くも悪くも論外だから勘定に入れてないを強調しといて
アタシ個人的には「第3作『獄門島』で終わってくれて構わんかったで」
『女王蜂』それと『病院坂の首縊りの家』、無くて構わないからよ
シリーズ第4作が「金田一耕助最後の事件」として知られる『病院坂の首縊りの家』なら
ツッコミ所満載の不出来は横へ置いて
「金田一さんが米国で行方知れずだし、金田一さんを演じ続けた兵ちゃん、乙加齢様~」と素直に見送れる
それが『女王蜂』でシリーズ終了最終作の場合、何かとメッチャ消化不良起こすんだわ
まず、市川崑が監督を担当する限りは美女を必ず犯人にするという方針、監督自身で反故にした件が挙げられる
『女王蜂』のズルイ!点を挙げると、「出演陣が一種のトリックとして、観客をミスリードした」
犬神家、手毬唄、獄門島の真犯人が一堂に会する(意外や意外、3婆初共演作だってよ)
原作未読ならば、役回りから、岸惠子が如何にもだよね
別作品だが一つのシリーズで二度真犯人演じるを匂わせておいて
女高男低の横溝ミステリーらしくない「真犯人は男で、仲代達矢」へと誘った
大道寺欣造(だいどうじ きんぞう) - 琴絵の夫(婿養子)。
智子を私生児にしないために戸籍上夫婦になったに過ぎず、智子と血の繋がりは無い。
映画では「銀造」の、まず母・琴絵、次に娘・智子への邪恋というか独占欲というか
ともかく男が犯人でないと成立しない話じゃん
『女王蜂』で性別の変更可能なのは
衣笠智仁(きぬがさ ともひと) - 元宮様、ホテル松籟荘の前の持ち主。
日下部達哉(くさかべ たつや) - 欣造の友人で智子の本当の父、正体は衣笠宮の第二王子・智詮(ともあきら)。
19年前、学生のときに島を訪れ琴絵と結ばれるが、謎の死を遂げる。
元宮様で、実際映画では、高峰三枝子の演じる東小路隆子がそれ
余談だが
登場人物が何人か省かれているがストーリーはほぼ原作通り進行していく稲垣吾郎主演の2006年フジテレビ版『女王蜂』
他の映像化では登場しないかまたは皇族男性から華族女性に変更されている衣笠宮が初めて原作通りに登場する
ともあれ『女王蜂』は、美女を必ず犯人にする市川崑の方針に反する点をどう説明してくれるん(・・?
神尾秀子(かみお ひでこ) - 琴絵・智子の家庭教師、美人で編み物が好き。
月琴島を訪れた大学生達のうち欣造に想いを寄せ、琴絵と達哉が恋に落ちるよう仕向けた秀子
彼女が結果的に19年前と現代の事件を招いた点で、真犯人=美女で我慢しとけってかw
次に、『女王蜂』が石坂浩二の金田一耕助シリーズに向かない点を挙げると
①基本は戦禍からほぼ復興果たした東京が舞台で、世界に一つだけ的な孤島や限界集落じゃない
②横溝ミステリー必須アイテムである家系図不要のわかりやすい相関関係
③連続殺人事件自体、変更不可で不可避の宿命性を帯びない
※映画化にあたり達也を原作通り、衣笠宮の第二王子・智詮に設定すれば
19年前の事件要因が、旧家の生まれだが華族ですらない琴絵との身分違いの悲恋となり得るけど、苦し紛れに近いかと…(-。-)y-゜゜゜
④何より、三種の神器、童謡といったアイテムを利用しての連続殺人事件を描く作品と異なり、映像美で魅せる演出が難しい面を持つ
そう、犬神家、手毬唄、獄門島で魅せた市川崑の映像美学にそぐわない
あと
男どもが群がるだけの「華」は無い女王蜂というミスキャストw
野村芳太郎監督が身近な人達に「作者の承諾を得たので横溝作品を何本か映画化する」と話していた
しかし正式契約の段階で、角川書店側が「自分達も映画製作に関わりたい」と言ってきた
彼らとの交渉の結果、『犬神家の一族』など他の映画化権は角川&東宝の手に渡ってしまい
松竹は既に映画化権を持っていた『八つ墓村』だけ製作することとなった
松竹製作による野村芳太郎&渥美清の金田一耕助シリーズの実現あり得たでしょね
探偵に用は無いオカルトに仕立て上げた『八つ墓村』に納得行かない件は放置してw
もしも『八つ墓村』映画化権が、松竹の獲得後からでも角川&東宝の手に渡っていれば(・・?
その20年前の市川崑に意欲は十分あったと思うど(゜_゜)
角川&東宝が石坂浩二の金田一耕助シリーズで、横溝作品の中で名高い『八つ墓村』映画化出来ていたら
犬神家、手毬唄、獄門島の後がジリ貧気味とならないままシリーズ終了した気する
『八つ墓村』真犯人は女であり、TV版の鰐淵晴子級美女は無理として、やたら怖い小川真由美を選ばなかったらOKじゃんw
あ”、鰐淵晴子と言えば
戦前まで栄華を誇った貴族の没落、さらに近親相姦というインモラルかつタブー視される性関係を濃厚に描写し、
そこに生じた悲劇と愛憎劇を密に描いた作品である。
横溝が得意とした田舎の因習とはまた異なった陰惨さや、本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、
他作品とは異なった雰囲気をかもし出し、作者の人気作品のひとつとなっている。
男が真犯人だけど
横溝が得意とした田舎の因習とはまた異なった陰惨さや、本格推理小説の定番「密室殺人」が、市川崑に合うと思うぞ
東映でなく、角川&東宝の製作だったら嬉しかったの、アタシだけ(・・?
物語の舞台として高度成長期以前の時代に拘らない場合
2023年現在、ドラマ2作品だけで、一度も映画化されていない作品どお?
本作の時代は昭和35年(1960年)に設定されており、金田一耕助が活躍する長編としては、比較的に新しい時代となる。
軽井沢の別荘地を舞台に、旧華族、芸能人、音楽家、学者らを登場人物として、横溝長編としては怪奇色を極力抑えた作品である。
警察側に屈折した若手エリートを配したり新機軸も多い。
しかしながら、他の代表作である『犬神家の一族』や『獄門島』などと同じく、
第二次世界大戦や血縁というものが重要な要素となっている。
原作では金田一さんの推理想定外だったほど見事な食わせ者・笛小路美沙、美少女が真犯人だぞw
見事な食わせ者の理由:「悪魔の申し子に加え、お嬢様の仮面被った、実は色情狂気味フシダラ小猫」
尤も、オナゴは化け猫の証明みたいな食わせ者であると同時に、不幸な宿命を背負う
女子には稀な色盲で、しかもその両親からは絶対誕生し得ないのね
笛小路家は1100年続いた堂上華族の家系で、強欲な祖母が仕切っている
詳細割愛するけど、美沙が祖母にとって、打ち出の小槌
それだけに、戦争末期、疎開先の岡山県への大空襲で美沙を死なせてしまうと?
街に溢れる戦災孤児のうち美沙の条件に合う赤ん坊を調達するしかあるまい
あるまいが、正式な貰い子と違って既往歴チェック等無しのため
家系上確率0%の色盲女子という致命的な選択をしてしまった
病弱な孫ちゃんを庇護する優しい祖母の仮面を被るも、美沙のエゲツナイ本性故に、惨劇が起きる
…連続殺人事件が、変更不可で不可避の宿命性を帯びるぞなもし
女王蜂に無く、犬神家、手毬唄、獄門島にある「戦争の傷痕」も該当する
登場人物には「不可避の悲劇性」が横溝物の鍵ね