mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

人は皆、迷いながら生き、そして、覚醒する

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『東京・春・音楽祭~東京のオペラの森2013~』
海外行かない限り、そうそう実演聴ける作品じゃないですからね
7日の日曜日だと、チケット取りづらいかと思い、4日木曜日の平日を選びました
前日の味スタ行きを考えれば、Jリーグ(大宮戦)でなく、ナビスコ杯(名古屋戦)で大正解でした(本心より)
 
 
 
 
この楽劇、1960年代、米国のフェミニストから、「女を歌合戦の賞品になんてッ」
アラ、そーですか?米国といえば、菜食主義マニア多い。菜食主義は栄養不足でヒス気味だから困りますわ
 
 
 

女を歌合戦の賞品にを説明すると
「金細工師ポーグナーニュルンベルク随一の資産家
ドイツ各地を旅行した経験を踏まえ、芸術を愛するニュルンベルク市民の気高さと太っ腹を誇示すべく
親父の全財産を受け継ぐ予定の一人娘エファが、ヨハネ祭の歌合戦で優勝者によって求婚を許される
歌合戦に参加するにはマイスタージンガーの資格が必要である」
 
 
 

深読みすりゃ、金細工師さんは腹黒くも慈愛深い親父だぜ
 
 
 

まず、エファに課せられた条件を見ろ
ポーグナーが結婚承諾の最終的な判断は娘に委ねたいと希望する
家に帰ればたかが庶民の分際なのに、エリート意識に凝り固まった親方たちはこれに難色を示す
ザックスだけ、乙女心は民衆の嗜好と一致するから審判に民衆も加えたらどうかと提案するが、一蹴される
最終的に、エファには拒否権を認めるが、優勝者以外の人間とは結婚出来ないということで合意する」
 
 
 

職匠歌人の盟主もさすがに、家に帰れば人の子の親父、賞品にされちまう娘のご機嫌取りを忘れずの一方
善意からにしてもだ、崇高なるドイツ芸術の担い手が、17歳くらいの小娘に断られるはずないと信じてるのさ
意地悪い見方すれば、「娘や、断ったら最後、市井で行かず後家だぞ。それでもエエのか?」
何故、市井で行かず後家?結論から書くと、「新教徒、プロテスタントの土地柄だから」
楽劇の舞台となるニュルンベルクは16世紀中葉当時、宗教改革が浸透していた
ところで、新教プロテスタントといえば、旧教カトリックのような修道院を持たない
修道院ってさ、女子の場合は売れ残り娘を尼さんにして余生を過ごさせる、意外と便利な組織なのにね、惜しい
となると、縁のない娘は、いくらカネ相続しようが、小間使い辺りに看取ってもらうしかないわけよ
「婚活だ何だと言って時間を浪費するくらいやったら、見合い断るな」、何と麗しい父性愛
 
 
 

次に、歌合戦参加資格を見ろ
「求婚するからには当然、重婚は許されない、独身者に限る」
 
 
 

ニュルンベルクの親方たちはポーグナー自身と名前呼ばれるだけで登場しない1人を入れて、13人と少数
その中で何人が、「嫁欲しいんじゃ~」のウジ虫湧きそうな男所帯なのやら?数人いるかいないかでしょ
しかも、崇高なるドイツ芸術合戦の優勝者として、市民からも苦情出ない親方…靴屋ハンス・ザックスあるのみ
ポーグナーは男やもめの隣人に娘をくれてやりたいと、アタクシは踏んだ
ザックスは本当はエファに気があるくせに、見栄張っちゃって、自分からは動かないのがわかっている
で、ポーグナーは娘を、彼女の意に染まない親方に持ってかれるor行かず後家の瀬戸際に追いやり
「友よ、キミの愛する乙女の危機だぞ、ささ堂々と助けに馳せ参じろ」
 
 
 

軟弱騎士ヴァルターさえ現れんかったら、ザックスの想いが叶ったろうにカワイソ
騎士は没落貴族、絶対、逆玉の輿狙いでポーグナー家の客人になってるからね
若い二人が一目惚れし合ったとはいえ、エファは絶対、絶体絶命の危機にイケメン見た気の迷い
第二幕に駆け落ち目論み、ザックスが阻止するが、駆け落ちさせときゃ荒野で現実に目覚めたものを、おバカ
というより、史実のハンス・ザックス、「ワシは、還暦過ぎた後、ギャルを嫁にしたわ」と草葉の陰で泣いてるわ
 
 
 

ヴァルターの成長の証として、優勝後に親方の称号を拒否、「ささやかな市民として生きたい」
残念ながら、靴屋に大説教されちまい、親方の称号を受け入れるがよ
一瞬だが、思い上がった貧乏人どもを、称号の虚しさを知る没落貴族が凌駕するのは楽しい~
思い上がった貧乏人ども、言い過ぎ?そーかしら?
ポーグナーは、ニュルンベルクの親方たちが唯一無二、ドイツの伝統を守り続けていると自慢する
16世紀当時のドイツ芸術を見渡せば、ヒビの入った骨董品を後生大事に抱えているだけの話
ま~それを少しは自覚しているザックスが、騎士上がりという新しい血を流入させ、活性化を目論むんだけどさ
 
 
 
 
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クラウス・フローリアン・フォークトが出演と聞き、しばらく悩みました
…勘弁してくれ。公家さん顔みたいなノッペリ声を長丁場で聴く、寒イボ立つ~
2006年頃かしらん、♪ローエングリンの映像観て聴いて、「本当に、ヘルデンテナーですか???」
美声は認めるものの、どー聴いてもモーツァルト歌手にしか聴こえなかったのよぉ
今回、実際の声聴いての感想:「線は細いけど、力強さはあって、着実に成長してますね」
1970年生まれだっけ?まだ、43歳。これからじゃん。イケメンだし(好みじゃないけど)
ブッサイクな白熊野郎が野太い声張り上げる世界を、新しい血を入れて活性化させますか
 
 
 
 
 
 
 
 
ジェラルド・フィンリー、確かモーツァルト歌手じゃなかったっけ?は置いといて
 
 
 

先述の通り、エファに想い寄せるは、隣家の男やもめ靴屋ハンス・ザックスもなのだが
ヴァルターを歌合戦に出場させるべく、彼の求婚歌作りを手助けしたりと諦め早いわりにゃ
オレだって歌合戦で求婚歌を絶唱したいんだい!を押し隠してのツケ回ったのやら
若いお二人さんがボーッと見つめ合ってるのを、男の嫉妬は見苦しいのに八つ当たりなのよ
もっとも彼が感情を爆発させたことで、エファはようやくザックスの愛情を確認出来た次第
エファとて、騎士が登場するまでは、靴屋に想い寄せていたのさ
「いまのアタシがあるのは、ザックス、貴方のおかげよ」と礼を言った後
「展開によっては、貴方を夫に選んだのに」…いま頃、言うなっちゅうねん…
 
 
 
東京マイスタージンガーでは、予定のエファが妊娠初期により飛行機乗るなのドクターストップかかり
上の映像、2011年の英国グラインドボーン音楽祭で歌った、アンナ・ガブラーちゃんが代役になったのね
いや~、本物は映像以上に可愛かった~
…ド近眼なのに遠目でも見える級の綺麗なおねえさん好きも置いといて
 
 
 
 
エファって、厄介な役なのよ
リリック・ソプラノでも歌えるが、音域が意外と低め、しかも歌い出すと時間長~い
やはり、Jugendlich-dramatischer Sopran、若々しいドラマティック・ソプラノが向いている
『1938年9月5日』
マティアス・ザマーが生まれる29年前じゃなくて
第10回党大会、ついでに書けば最終回となった、鉤十字党党大会
1938年9月6日から12日にかけてニュルンベルクで開催された大会、その前夜祭
となると、当然、この作品の楽譜を地獄の土産にしたという噂の総統さん御前演奏会
党のスローガンは何だっけ?あ、『大ドイツ』?幻となった第11回の『平和』と同じく笑わせてくれる~
…気を取り直して
裕福ながら市井の娘だから、別に美人でなくてもいい、ただし少々以上に見苦しい系だと、座布団投げたくなる
声楽面でも、金髪碧眼(あるいは、それっぽい)のヴィジュアルでも、ガブラーちゃんは適役♪☆
 

 
 
とまァ、今回の花のお江戸行き感想文、こんな感じで最終章を迎えましたとさ
記事題名の意味は、以下より
(迷いだ。迷いだ。すべて、迷いだ)