mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

遺された者の守護天使:『去りし者の残り香』

当記事のアメブロ版は、2012-12-27 18:51:00投稿
その16日前に投稿した【金の儚さ、銀の優しさ】への検索キーワードに、『辺見武彦 折原薫』の類が多かった
(最近は、『
一の宮蕗子 朝霞れい』の類が人気キーワード)
んで、続編というか、辺見武彦&折原薫篇を書いてみたのね









【「私のマンガ大賞」は、コレ:ベルサイユのばら~新しい運命の渦の中に】
【「私のマンガ大賞」は、コレ:ベルサイユのばら~栄光の座に酔いしれて】
2011年4月30日本館記事です
Yahoo!の数少ない取り柄の一つだったブログネタ提供『Close up』、早い話がネタ切れ利用者救済策を利用して
Yahoo!の数え切れないほどの欠点の一つである記事5000文字制限を軽く越えるため
オスカル篇とマリー・アントワネット篇に分けました
アメブロやFC2では常識の予約投稿が、Yahoo!では非常識で出来ないため
文字数を数えながらワードで原稿作り、ブラウザ2枚から同時刻に同時投稿、もおクタビレたの何の…




それはさておき
池田理代子先生の漫画では、ベルばらに負けず劣らず好きな作品として
mathichenさんのドイツ愛に貢献した‘オルフェウスの窓’は完読していないので除外して










今月11日当所記事【金の儚さ、銀の優しさ】で取り上げた‘おにいさまへ…’
池田先生の現代物屈指の名作だと思います




前回は
「この作品こそ、アタクシが軽蔑してやまない現代の有名私立お受験狂想曲、そのアレルギーの原因だ」
一の宮蕗子と彼女の拠り所である特権組織ソロリティ、蕗子に虐げられた朝霞れいに重点を置きましたが
今回は、当所検索キーワードに多い、辺見武彦と折原薫に目を向けてみましょう




辺見 武彦(へんみ たけひこ)
奈々子が中学の頃に通っていた塾で、講師のアルバイトをしていた大学院生(担当科目は、社会科)。「おにいさま」として奈々子と文通を始め、彼女の心の支えになろうとする。青蘭学園、蕗子、薫、奈々子とも何か因縁があるらしい。
実は奈々子の義父である御苑生教授の実子で、奈々子とは義兄妹である(奈々子は御苑生教授の後妻の連れ子で、私生児)。

Wikipediaより引用 )










10年あまり前の御苑生教授。場所は、講義の後に学生や同僚と出かける大学近くの小料理屋
妻が10歳になる息子を連れ、愛人のもとへ走った直後、すっかり腐って独り酒に酔いつぶれる日々
店の女中が教授の身体を気遣い、4歳の娘に水入りコップを教授に持って行かせた
「おじしゃん、おみずのんでげんきだして」。あどけない黒い瞳の少女に教授は心癒されたよう
となると、この子の親は誰?、教授は気になりますわな
小料理屋の女中、長年一緒に暮らしていた男に娘ともども捨てられた、ある意味教授と似た者同士  
教授はその後、小料理屋母娘を正式に妻と娘として迎え入れた










親の勝手な都合で温かい家庭を奪われた息子にすれば?
奈々子への手紙の差出人が武彦を見て、教授夫人は驚き、武彦のもとを訪れた
「奈々子には御苑生に子供があったことを知らせてありません
言えば、不必要に心痛め、わたしを責めるでしょう…」
武彦が奈々子に何も話さず話すつもりもないと聞いて安心した
が、教授夫人は結婚後ずっと、夫の前妻とその息子が心に引っかかっていたらしく
「わたしたちを…きっと恨んでいるのでしょうね…」




父が恋しくて、家が恋しくて、二度だけこっそりと元の家に行き、低い籬から覗いた
一度目は、庭で土遊びする奈々子から、「あなたはだあれ?」
二度目は、雨に濡れながら、家の中から聞こえる家族団欒の楽しそうな笑い声を耳にした
たった半年前まで、僕の頭をなで、僕にボールを投げ、僕に‘トム・ソーヤ’を手渡し、僕の前でパイプを掃除し
ああ、その手…!お父さん…もう僕のものじゃなかったんだね…来てはいけなかったんだね…
「初めは憎みました…僕から父を奪ったあなた方が憎くて…」










「けれど、母が亡くなってから僕の成人する日まで
本当ひと月も欠かさず、銀行へ生活費を振り込んで頂きました
大学教授の薄給がどんなものか、僕なりに知っています
感謝こそすれ、いまは…憎しみなど…」




辺見という姓、武彦の実母のものなのでしょう
前妻が亡くなってから息子の成人する日まで、銀行へ生活費を振り込む
これ、前妻は愛人に走ったものの、同棲にせよ再婚にせよ捨てられ、連れ子もポイされたってこと?
でさ、母子家庭の間はともかく、息子が孤児となってからは別居親の義務である養育費払っていたとか?
実はね、御苑生教授の再婚には謎が見られて…
武彦は、半年前まで父と暮らしていたという
教授から奈々子への説明によれば、妻に逃げられた直後の小料理屋の件から1年後に再婚したという
…計算合いませんよね…教授、そして現夫人、何か嘘ついてるんじゃないの?
と言っては気の毒なので、教授の離婚成立が時間かかる間に、取り敢えず新家庭はスタートとしときましょ
教授は新しい家庭に恵まれたが、息子は不遇とまではいかないが楽じゃない成長期送ったには違いない
世の中の後妻がどう絶叫しようと、前妻の子が夫の正統な子供である
残念がら通じない現代ですが、老婆心から書くと
今昔とも、正統な子も後妻(夫)から生まれた異母(父)弟妹も連れ子も、何らか複雑な感情は抱くわけよ
武彦が現教授夫人を憎み、奈々子がもしも義兄の存在を知っていれば素直に育ったか?、どっちも無理ない
子供たちに心の傷を与えない、与えてしまったら少なくする努力怠らない、要するに親の器次第ということ




武彦はドイツ留学生試験に当たり、御苑生教授に保証人と推薦状を求めた
10年以上経っての再会。どうしたって他人行儀になる
教授はそれでも、武彦の要望をメモしながら、「ドイツ一人暮らしはきついぞ」
「いえ、配偶者1名と一緒にです。これから結婚します…連れて行きます」
教授は自分と同じ学者の道を歩み始めた息子に感慨を覚え、そして…
「武彦、感謝しているよ…奈々子のこと…」
奈々子はソロリティの醜さに巻き込まれ他を始めにいろいろ経験を積み、半年そこいらで成長を遂げた
その背景に心の支え、悩みを聞いてくれるおにいさまとの文通が大きな役割を果たしている
恩讐を超え、義妹を手助けしてくれた息子に、父がたぶん過去の詫びも込めて頭を下げたのですね




…何も考えんとデキ婚するわ、授かり婚などと神さんに責任転嫁してアホンダラ行為を美化するわ
離婚経験者は初婚者と同じ土俵に立てないのに、たまごっちの如く過去をリセット出来ると思ってるわ
正統な子の養育費払わんと、再婚の経緯が正当かどうか怪しい後妻の子だけベタベタ可愛がるわ
好いたハレタが絶対条件としてまかり通る。フシダラ小猫や白い小便タレ小僧増えて胸クソ悪い俗世だぜ
御苑生教授と武彦の再会場面が、アタクシのいまどきの尻軽離婚及び再婚を軽蔑する最大級の理由だ
いまどきのアラサーがこの世に誕生していない、1976年小学5年以来の30数年物信念
クレームは一切認めんぞ




気を取り直し




折原 薫(おりはら かおる)
奈々子のクラスメイト。実は、奈々子より1歳年上だが、病気で1年休学していたため(その病気の影響によるこの物語の結末が、原作とアニメ版では異なる)、奈々子と同級生となった。
ボーイッシュで運動万能な事から生徒に人気だが、家事全般は不得意。バスケ部所属。
名前と『源氏物語』の薫の君にちなんで、生徒から「薫の君」と呼ばれている。ソロリティの存在に反対し、奈々子のことを庇う。

Wikipediaより引用 )











武彦がドイツへ連れて行くと決めた、奈々子と同級生である折原薫
中等部卒業してから休学ということは…16歳になるかならないかの若年で、乳ガン!?
医学的知識ゼロのため、そーいう設定でも別に構いませんと置き




薫は朝霞れいの親友。れいの異母兄である一の宮貴を通じて武彦と知り合った
大学生と中学生。でも、原作だと40年前の太古とあって、いまより遥かに分別持つ大人の関係での相思相愛
薫は武彦を心から愛するが故に、5年の間にガン再発したら最後の身を思い、武彦のもとを強引に去った




「それが君の愛し方か
愛する者に苦しみを分かつことをせず、愛する者から手を差し伸べられることもせず
それは、僕のためか。だったら僕は、そんな愛され方などごめんだ!!」
「だって、だって…わたしがあなたにあげられるものは、恐れと悲しみしかない!!…」
「それでもいい!!それで薫が少しの間だけでも幸せでいられるなら!!」
「だめーっ。自分の苦しみを他人に預けて甘えて生きろっていうの!?」
「いいんだよ…この世に一人だけ甘え寄りかかってもいい人がいるんだよ
人間が一人だけ愛する者に弱さをさらけ出すのを誰が咎めたり出来るものか
薫、自分を一番愛し、自分の人生を一番大切にしてくれ…
僕を愛しているなら。そうしてくれ…脇目も振らず、自分の幸福だけを考えてくれ
それなら、最後の最期まで全部を引き受けてやるとも、薫…」




…書いてるだけで、もお泣けてくるわ…
「怖い…怖い怖い!!独りで死を待つのは怖い!!独りでは生きられない」
薫も本当は誰かにすがりたくて、でも相手の負担思う気持ちから出来なかった
凍結し昇華させてきた計り知れない孤独と苦しみ
奈々子に文字通り胸襟開いて乳ガンを告白したのは、血は繋がらなくても武彦の妹だったから
それでも、武彦でないと、薫の心を見守り救ってやることは適わない…










ドイツへ旅立つその日、18歳の花嫁は何にも増して輝いていた
「この一瞬の重み、この一瞬の大切さは、お前さんにとっても、わたしにとっても、同じことなんだよ!」
薫が奈々子にガン告白した時の言葉が、奈々子の脳裏によみがえる




ウィキペディアの「その病気の影響によるこの物語の結末が、原作とアニメ版では異なる」
原作では、2年後、薫が亡くなったとドイツから短い手紙が届く、悲劇的幕切れ
アニメ版では、家事がまるで苦手な薫が何とまァ母親になった写真入り手紙が届く、大団円メデタシメデタシ
生の一瞬の重み、生の一瞬の大切さを強調したいなら
新しい生命誕生より、生き続ける努力し人生を謳歌しながらも力尽きてしまったが、相応しいような…