mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

奇蹟が勝利の楯

昨日記事への追記をば




(其の壱)

ワルキューレ第一幕第二場
フンディングがジークムントに決闘を申し渡し、ジークリンデに寝酒の用意を言いつける
台本のト書きでは
ジークリンデは、意を決しかねるように物思いに耽りながら、しばし立ちすくんでいたが
やがてためらうような足取りで、ゆっくりと納屋に向かう
もう一度立ち止まると、物思いのあまり放心したように
顔を半ばそむけ、横顔だけをこちらに向けたまま立ちすくむ
だが、やがて意を決したように落ち着いて戸棚を開けると
酒杯に酒を満たし、小さな容器に入った粉薬をその中に振りかける
そうしてからジークリンデはジークムントに目をやると
それまでずっと彼女に向けられていたジークムントの眼差しと出会うが
フンディングが様子を窺っている事に気づくと、すぐ寝室へと向かう
しかし、彼女は階段でもう一度だけ振り向くと、憧れの込もった眼差しでジークムントを見つめ
その眼差しで語りかけるように、しばらくトネリコの幹の一点を凝視する」
ジークリンデがトネリコの幹の一点を凝視する所に於いて、東京文化会館では
ジークリンデは黙ったまま、ジークムントに、右手でトネリコを指し示した
片目の老人がトネリコの幹に刺して帰った霊剣を、丸腰のジークムントに教えてやろうとするんだけど
右手がホール二階席辺りへ向かう格好のため
「あ、鳥だ!飛行機だ!!いや、タケちゃんマンだ!!!」を思い出したmathichenさんって…




ヴァルトラウト・マイアーおねえさんの名誉のために補足すると




第二幕死の告知場面の間、演奏会形式のため、本来地べたで眠る所が、椅子に座る格好となった
美女って黙ったまま座ってようが絵になるわねは当然の事ながら
ジークムントとブリュンヒルデがあーだこーだやり合ってるのを意識して聴いてるのを
つまり、自分の歌う場面以外にも意識集中するのを、ちゃんと見て取れた事も感動した
マリア・カラス、アニヤ・シリヤと肩を並べる『歌う女優』の証明であった




この際だ、マイアーおねえさんで思い出した~を書くと




1990年代後半、ベルリン国立歌劇場ジークリンデ歌った何度目かの公演日
その日になって、フリッカ役のローゼマリー・ラングが出演出来なくなり、マイアーおねえさんが歌った
ジークリンデとフリッカは同じ場面にいないからね
マイアーおねえさんは本来、メゾ・ソプラノ。キャリア初期からフリッカ何度も歌ったし、無問題
ジークリンデが同じ舞台で、フリッカも歌う。人はそれを、マッチポンプと言う
第一幕で自らバラまいた火種を、第二幕で自ら火消しに走るんやから、そーやろ」
美女からネチネチ苛めて貰えるヴォータン、果報者。それを妬んだモテナイ君の寝言であった




なお、上段のマイアーおねえさん一人二役は歌劇場地元、つまり日本でなくドイツの首都での話
東京での似た話は…


ベルリン演出を借りたバルセロナ・リセウ大劇場版より
当然、mathichenさんの観た、2002年東京での♪ラインの黄金も同じであった
東京版には一つ、謎が残される
青春の女神フライアの他、♪神々の黄昏では、グートルーネと運命の女神其の参
当所、リカルダ・メルベトが発表されていた
近年、バイロイトの♪さまよえるオランダ人でゼンタ歌ってる、旧東ドイツ出身ソプラノね
しかし病気で来日せず、ベルリン座付のカローラ・ヘーンが代役に立った
このカローラ嬢、ラインの乙女(ヴォークリンデ)も歌った
フライア、グートルーネ、運命の女神三姉妹のいずれも、ラインの乙女と同じ場面で歌わないから無問題
と思った直後、「♪ラインの黄金幕切れは?」とハタと気づいた
フライアは歌わないが、ヴァルハラ入城するため、舞台上にいる
ラインの乙女トリオは姿見せないが、舞台裏で歌う
默役のフライアが、カローラ嬢と入れ替わる
…ローゲが歌ってる間、神々は舞台後方にいるタイミングで不可能じゃない
それでも、ヴォータンでも(盗人からドロボー猫する神さんじゃ、尚更)無理やろの神業かと思われる
幕切れだけ、ヴォークリンデ歌手が代わった
…そんな案内、NHKホールからも、運命の女神三姉妹からも、聞かなかったぞ
舞台上のフライア、あれ一体ナニモノだったの!?




(其の弐)

第二幕第五場、ジークムントとフンディグの決闘場面
ヴォータンの
「Zurück vor dem Speer!(槍の力を恐れよ!)
In Stücken das Schwert!(剣よ!砕け散れ!)」
ト書きに従えば
「必殺の一撃をフンディングにくれようとジークムントが剣を構えた時
舞台左手から燃えるような赤い光が突如雷雲の中に輝き、ヴォータンがそこに姿を見せる
ヴォータンはフンディングの頭上に立ち、交差させるようにジークムントに向けて自分の槍を伸ばす」
ワーグナー師匠格の説明によると、ワーグナーの構想通りには実現不可能なの、皆様ご存知?
ヴォータンは舞台上に、超人バロム1のドルゲ状態で登場するのよ
超人バロム1を知らん?
「ドルゲ~」とバス=バリトンの声、昭和40年代後半の子供は覚えてるけどさペタリ
イメージ 1
http://sofvi.tokyo/150401_0023/
2015年4月24日0時~2015年5月31日23時59分
受付の受注発売(2015年8月下旬発送予定)




誰か、アタシに買って頂戴ませませ~と絶叫して
ともかく、ヴォータンは本来カーテン状態、横に広がる感じで登場する
人間の歌手に出来るワケおまへん
それはともかく、東京文化会館では、舞台右手からヴォータンが歩いて登場
mathichenさんの目の前を右から左へと通り過ぎると同時に、オーケストラの前も通り過ぎる格好
オーケストラの前には少し前から、ジークムントが立ち
「Denn sieh: deines Hauses heimischem Stamm(さあ、見ろ…お前の家の木の幹から)
entzog ich zaglos das Schwert;(おそれることなく、私が引き抜いた剣を)
seine Schneide schmecke jetzt du!(刃の切れ味を味わうがいい!)」
後方にいるフンディングへ背中越しに威嚇するが
彼の目の前をヴォータンがそそくさ通る時、霊剣ノートゥング握ったつもりの右手上げたままなもんで
お互い知らんぷりするヴォータンともども、マヌケっぽく見えてしもた…




(其の参)

第三幕第三場、ヴォータンがブリュンヒルデに罰を言い渡す場面
エギルス・シリンスうっかりしとったのか、入りを間違え、フライングやっちまう箇所があった
ミスった部分の後、敢えてミスする形で軌道修正した。やっぱ亀の甲より年の功が物言いますな
NHKが1989年にハイヴィジョン収録したバイエルン国立歌劇場映像で歌ったロバート・ヘールも
「Leb' wohl! Leb' wohl! Leb' wohl!(さらば…さらば…さらば!)」
最初のLeb' wohl!をフライングしたが、次のLeb' wohl!を長く伸ばすにより、最後のLeb' wohl!を普通に決めた
昔々、埼玉の赤組選手がスローイン出し所に右往左往、イエロー連発によるレッドで赤っ恥とは天国と地獄の差




今日も既に長い記事なれど、思い出した時に忘れないうちの備忘録を一つ




1997年11月21日金曜日、ベルリンの♪ワルキューレを東京へ聴きに出かけた日
新幹線東京駅到着後、品川・渋谷方面の山手線に乗った
が、上野・池袋方面に乗ってしもたと、次の駅で降り、乗り換えた
…はずだった
ホントに上野・池袋方面に乗ってれば、神田で降りるはずじゃん
それが、東京出た後、有楽町で降りたと書けば、意味おわかりよね
どの辺で気づいたか忘れたが、そのまま乗り続け、渋谷へ向かうのに、メッチャ時間食うたわ
…渋谷に着いたら着いたで、ドコの悪魔が憑依したのやらだったし
泊まりがけなので、まずホテルで荷物整理して休憩後、NHKホールへ向かった
NHKホールへは、渋谷駅ハチ公口前の横断歩道を渡り、銀行だっけ、そこで分かれる道の左側へ進んだ
…はずだった
マルイの前の道を進んだと書けば、後は言わずもがな
渋谷ってさ、坂の多い街じゃん。そこを超速で長距離走るハメに陥った
開演は午後5時だが、午後4時半までに絶対到着する必然性のせいよ
その5日前の♪パルジファルは、5月31日発売チケットを電光石火の早業で買ったが
ワルキューレ行きはギリギリに決めたので、チケットはホール窓口手渡し、それが午後4時半までにだった
窓口到着時には息切れ状態、財布を取り出しカネ渡す手元フラフラ
窓口おねえさんが不思議そうな顔も当然だ
アタシゃその後、途中のコンビニで晩飯買えなかったせいで、受信料で食材調達?サンドウィッチ(泣)なのに~
ついでに書くと
ホテル帰った後、紐引っ張って温める飯をホテル自販機で買い、紐引っ張りながらTVの電源入れたら
日本テレビのニュースに、さっき聴いたばかりのベルリン国立歌劇場日本公演特集で、思わずコケた
モーツァルトの♪魔笛が主だったけどね、「NHKが映像収録してへんやろか~」
映像収録しとった。教育テレビ放送VHS、いまも永久保存中(久しぶりに観よかしらん)




…山手線の件を思い出した理由:「一昨日の夜、新大阪到着後のドタバタ劇」
牛肉もお大満足、エビス麦酒にえびす顔、財布の紐と同時に気がユルんだんでしょね
隣の大阪駅に向かったはずが、ハッと気づいた時には、吹田で蒼黒くなる始末
午後11時半過ぎると、酷鉄JR、私鉄各線、どちらも本数少なくなり、各停増える
南海高野線最終が、午前0時20分発堺東止まり
これ間に合ったのは、49歳にしては奇蹟的体力のおかげ様である
疲労のピークが、明後日でなく明日、つまり昨日ゾンビ状態も、奇蹟的、案外若いのねの証明となろう








O hehrstes Wunder! Herrlichste Maid!(ああ…なんて神聖な奇蹟!なんて素敵な女性!)
ハイ、皆様ご一緒に♪
マイアーおねえさん来年還暦でも、ジークリンデ歌う姿可愛い、これオンナ経験値がむしろ物言うなればこそ
mathichenさんは体育会系肉食腐女子だが文芸部出身、だから来年人生半世紀で東奔西走~の迷文遺せる
どちらとも、現代の奇蹟と言えよう