mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

サッカー家族の肖像~聖地に輝いた夢~

昨年のFAカップ決勝、チェルシーvs.エヴァートンにおいて、カップ決勝史上最速ゴール生まれましたね
エヴァートンのFWルイ・サハが試合開始25秒で達成しました
ところで、それまでの記録は?

イメージ 1

1997年、チェルシーvs.ミドルスブラにおいて、前者のMFロベルト・ディ・マッテオが試合開始43秒で

「姉さんが観に来てくれることは大きな励みになるよ
どの試合でもベストを尽くしているけど、この一戦は特別だ。姉さんのためにもスゴいプレーをしたい」
5歳年上のコンチェッタ姉さんは、ラツィオから移籍する弟を心配していた
ローマの連中も乱暴だけど、英国のサポーターもと聞く。やっていけるのかな…
不安は杞憂に終わり、弟は渡英1年目にしてウェンブリーの晴れ舞台へ
ロベルトは家族をイタリアから招き、見事スゴいプレーを披露した
チェルシーも2-0で勝利、優勝を飾った
コンチェッタ姉さんは勝利の女神として、シャンペンかけ合いの輪に入れてもらい、嬉しさでクシャクシャ顔

「ロベルトの姿を見ることはできなくても、スタジアムで観戦するのは大好きです
彼がいまどんなプレーをしているかを含むフィールドでの動きを、父が解説してくれるんです
私も雰囲気を身体で感じることはできますし」
コンチェッタ姉さんは、12歳のとき、網膜色素変性症と診断された
網膜に異常な色素沈着が起こり、網膜が壊れていくにつれて視野が狭くなり、暗い所が見えにくくなる
やがて失明に至ることもある難病であり、コンチェッタ姉さんも18歳頃に完全に光を失った
彼女の視覚面での記憶に残る弟のプレーする姿、それは少年の頃のまま
しかしながら、目に見えなくてもいま現在のプレーを鮮明に思い描くのは可能

スイスへ職を求めて移住するほど、裕福とはいえない一家。肩寄せ合うように暮らす日々もあった
ロベルトがサッカー選手として開花する、家族の夢
夢は叶えられ、聖地ウェンブリーにまで至った

お姉さんっ子であるロベルトは最高の贈り物をコンチェッタ姉さんと無論両親にも捧げられたのです

見えなくても、聞こえなくても、豊かな感性や想像力さえあれば楽しめる
ディ・マッテオは愛する姉さんへの贈り物で、世の障害者への勇気を与えたと思います


                  Roberto Di Matteo wonder strike | From The Archive