mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

再生が許されるのは罪ある者の中より

昨日の補足記事をば
本篇より長いわよ




オルフェウスの窓 ○○』であれこれ検索かけると、呆れるほど熱狂的ファンを持つ作品とわかる
ファンの数だけ、異なる考察や思い入れの数もわかる
日本の皆様の大好きな「価値観は人それぞれ異なりますから」の通り、好きにすればいい
が、「狭量だねぇ」と感じる記事が気になり、mathichenさんの本日記事ネタが浮かんだ
ま、独断と偏見にかけてはアタシの方が上回るを前置きとしといて




レナーテ・フォン・アーレンスマイヤ
ユリウスの母。
アーレンスマイヤ家の当主であるアルフレートの愛人にされたが、ユリウスを妊娠中に捨てられた。野心からユリウスを男の子として育て、跡を継がせようとする。「オルフェウスの窓」でヘルマン・ヴィルクリヒに出会い、恋に落ちた過去を持つ。

Wikipediaオルフェウスの窓より引用 )

レナーテへの世俗の評価はどうも芳しくない
女の子を男の子と偽ってまで、アーレンスマイヤ家の莫大な財産を頂戴する野望に加え
過去の悲恋を想う一方、恨み重なる?老亭主の死に「ユリウスの父親ですから」と涙するといった姿が
「腹黒いくせに、自分を哀れでんるのよね~」みたいな嫌味を引き出している模様
少数派ながらも、レナーテに同情する向きは存在する
レナーテ批判記事に同情意見寄せるを見た
もっとも同情意見にネット上の不手際と、不手際には同情出来ない面があったので
批判記事管理人の「レナーテ支援ブログでもやったら」に終わった




「レナーテ支援ブログでもやったら」管理人には、「自分だって、視野狭いじゃん」とツッコミ入れたくなった
「現代人思考を持って、19世紀から20世紀にかけての女性を糾弾するなよ」
高学歴による知識は豊富、掘り下げて考えてみるは苦手か出来ないと踏んだもんで
「批判するにも、一度、レナーテ視点で物を考えてみろ」




まず、脱線すると





アルバン・ベルクの歌劇‘ヴォツェック
貧しい床屋上がりの兵士が、鼓手長と通じた内縁の妻マリーを殺すという陰惨な内容の物語

「息子は配役表では、『マリーの子供』と紹介される
果たして、本当に、ヴォツェックとの間に生まれた息子かしらん」

第一幕第一場、大尉の部屋、早朝
「お前ら、教会に行ってないだろ」。正式に結婚しないで女に子供生ませたを非難する大尉
黙って聞いていたヴォツェックだが
「自分のような貧乏人は道徳的に子供を作れといわれたって無理ですがな」

マリーは息子を突き出して、「この子、アンタの子だよね」
何かね、必死な感じするのよ
「アタシがどこかで仕込んだ子供だけど、俺の息子だと公認してくれたよね」
ついつい意訳してしまった

( 2014年11月9日【神の子誕生は貧しき民の中より】 )
「教会に行ってから子供作っていないへの非難は、マリーも受ける
子供を抱いて機嫌良く長屋の外に立つ場面、近所のオバハンと言い合いになった所でやられる」
ヴォツェックが軍隊で人体実験台して稼いだカネを、生活費として受け取るマリー
これすなわち、その日暮らし的な貧しい暮らし向きだというのに、マリーは家に留まっている」
現代人の目にどう映るんでしょね
「逆境にある女性は他にいくらでもいたんだから、甘えるんじゃねーよ」?
といった旨の主張が必ずしも間違いとは言わない
しかしだね…




カタリーナ・フォン・ブレンネル
イザークが家庭教師としてピアノを教えている少女。
イザークに片思いをしている。貴族の娘に生まれながら、街で倒れたフリデリーケを助けて親友となる。これを契機に、恵まれない人々に心を寄せ、マリア・バルバラらとともに慈善活動に勤しむようになる。イザークに婚約を申し出て拒絶されるものの、その失恋の痛みを乗り越えて精神的に成長する。第2部では、看護婦を目指し、ウィーンの病院で見習いとして働くことになる。アマーリエが誤ってランプを落とし、病院が火事になった時は、まだ建物の中にいた患者全員を無事に救出するなどの活躍を見せた。

カタリーナ自体は、物語の全登場人物の中で唯一と言っていいくらい、常識人である
ん?上流階級から見れば、常識外れと言えるかしらね
イザークを、クリスマスの夜、ブレンネル家での食卓に招くべく、一人で道を歩いていると
それを馬車の中から目にした、モーリッツの幼馴染みベッティーナを筆頭にする上流娘たちから
社交界にはとんと顔を出さず、アーレンスマイヤ家の売れ残り姉さんと慈善活動やってるんですってよ
やーだわね、若い娘がわざとらしくて」
アネロッテ姉様予備軍の、嫁入り先確保する化け猫用ドレスにうつつを抜かす連中から陰口叩かれる
また、母親からも、「毎日外出したり、いかがわしい場所を歩いたりして…少しは自分の評判を考えなさい」
カタリーナは、外面を着飾る事しない、地味な娘だものね
ウィーン行き、これは、音楽留学を口実にしての家出みたいなものと言える
看護婦やってるが両親に知られた時には、火事発生しなければ連れ戻される所だった
真摯な救命活動から、軽い気持ちじゃないと知った両親が、職業婦人の道を認めてくれたのよ




…上段は事実ながらも、mathichenさんは性格いくないもんで、ツッコミ入れると以下のようになる

アマーリエ・シェーンベルク
イザークのピアノの師であるシェーンベルク教授の娘。
シェーンベルクが一時期同棲していた街女との間に生まれ、後に彼の家に引き取られた経緯を持つ。出自へのコンプレックスから上流階級での社会的地位に強く執着する。その社交的で明るい性格に、イザークは惹かれ彼女と恋愛関係になる。だが音楽一筋のイザークに対するアマーリエの情熱は次第に冷め、別の男と結婚することで、イザークに音楽の道を断念させかけるほどの痛手を負わせる。後に自殺未遂事件を起こして夫と離婚。イザークと復縁を図るが、自分の過失による病院の火事と、身を挺して火事から患者を救ったカタリーナの行いに己れの過ちを認める。カタリーナに諭され、自立した人としての生き方を探すことを決意し、イザークに謝罪と別れの手紙を書いてパリへと旅立った。

「お仕事をお持ちなさいませ
自分の教養や経験を、他人のために活かしましょう」
そうカタリーナに諭されるアマーリエ
カタリーナの主張はわかるんだけどさ、「二人とも、教養を得られる階級育ちだわな」
裕福な実家など、尾羽打ち枯らした受け入れ先持ってる者が念頭に無い場合には、小娘が黙れと言いたいわ
マリア・バルバラ姉様に、慈善活動の手伝いを申し出る場面
姉様は、他の方は優越感や自己満足で慈善活動を行うと、カタリーナに言うね
慈善活動が行き過ぎると、受ける側の無気力を生む
それも姉様は理解している
要するに、「慈善と独善は表裏一体」を、カタリーナが理解しているか?理解していないか?




独善だったら、いっそダイナミックに

ロベルタ・ブラウン
イザークがアルバイトでピアノ弾きをしていた酒場で働いていた少女。第1部から登場していた。のちにイザークの妻となる。
父親の酒代のカタに身を売らされ、娼婦にまで転落する。陰ながらイザークを応援し、イザークを追ってウィーンまで来ていた。イザークの結婚相手と目されていたアナスタシアの手紙を街角で拾い、訳のわからぬままスパイ容疑で逮捕されるが、イザークの幸福を思ってアナスタシアの身代わりとなりスパイの罪を被ろうとする。彼女の行動に心を動かされたイザークと結ばれるが、これまでの生活環境や価値観の違いすぎるふたりは時と共にすれ違いを重ね、結婚生活は決して幸福と言えるものではなかった。息子のユーベルを忘れ形見に残して息を引き取る。

頭も品も悪いわ、ギャンブルするわ、亭主に赤っ恥かかせて信用失墜させるわ、どーしようもねー愚妻
とはいうものの
ハラボテ中に夜の商売したのは、イザーク助けるカネを得るためだったり
これ以上イザークの負担にならないよう、ハラボテを黙っていたり
学無いなりに努力した、優しい性根という意味での賢妻なのが泣かせるじゃん…




脱線はもう少し続く




ベルサイユのばら外伝のある短篇に、貧しい洗濯娘が登場する
「アタシ父さんいないと思ってたら、貴族の血を引くとわかり、その学校に行くの
読み書き習ったりして、食事もちゃんと貰えるんだけどね、どーせ貴族育ちのワガママ娘に使われるんだわ」
貴族の庶子が、貴族育ちの集まる学校に小間使いとして雇われる現実でわかるように
レ・ミゼラブルの孤児コゼットを産んだファンティーヌを例とする、有産階級の男に捨てられた母親など
このような若い女性は、ルネサンス期から欧州各地によく見られた
フランダースの犬のネロ、彼だって十中八九、そうよ
母方祖父であるジェハン爺さんが、自分自身が糊口しのぐ身で何故、娘の遺児を育てるのさ
アニメ版では、ネロが絵画コンクールに絵の提出時、母方祖父の姓であるダース名乗ったを思い起こすべし
王侯貴族の血を引く子供にまずまずの境遇与える余地はあるカトリックの土壌に於いても
フランダースの犬で例えれば、大家のハンスのような意地悪い連中からの差別も当然あった
ネロは人望厚い祖父に育てられたのでマシであって、父親不明の母子家庭だったら、さて?ハテ?




オルフェウスの窓のレナーテに当てはまる気がする
彼女の生まれ育ちは不明であるも、20歳前の娘が貴族爺さんの愛人にされちゃうで想像つく




爺さんが果たして、レナーテ母子が名乗り上げるまで、庶子の存在を知っていたかという声聞かれる
知っていれば、愛人はポイ捨てしたものの、十分な待遇は与えたよ
長女マリア・バルバラ、次女アネロッテの、姉妹であまりにも違う性格について
次女が、前妻が夫の親友と不義密通してを勘付いており、それが姉妹の取り扱いに表れた説あるけど
屋敷前に捨てられていた幼いゲルトルートを拾い、成長後は小間使いとして面倒見た点により
大人に対しては時に非情だが、子供には基本原則親切が感じ取れる
愛人の子でも、男子と聞けば尚更、世話は怠らなかったに違いない




しかし、レナーテ母子は、フランクフルトの町で貧しい暮らしを送っていた
レナーテがユリウスを、女の子に男の子教育を終了するまで、遠隔地で育てたという見方は出来ると同時に
レーゲンスブルクに身の置き所が無かった」、それも考えられるんだよ
イザークの妹、フリデリーケの不遇を思い出してみて
モーリッツが、オペラハウスでの演奏会にイザーク抜擢を知ると、自分に譲れと迫るわね
貧乏人なんてカネ見せれば何でも言う事聞くと信じて疑わない母親と一緒にね
フリデリーケがなびかず毅然と断ったら、成金こそ知的水準低い賤民の証明として、報復に出た
キッペンベルク商会の歯牙にも止まらない場末地区を除く町中に手を回した結果
奨学金止められたイザークが、酒場のピアノ弾きに職を求め
フリデリーケも野菜市場の職を奪われ、14歳の娘に勤まる仕事口を全て閉ざされ、こちらも酒場の職を求めた
これ、16歳と14歳の兄妹だから何とかであって、乳幼児抱えた若い母親には?
無名の母親になら、勤まる
もし家柄良く実力者のお手つき娘と知れ渡っていれば、状況次第だが、困難
フランクフルトでは、洗い場やお針子をこなして、ユリウスに新しいピアノを買い与えた
レナーテが高等教育は無論、特殊技術持たない女性であった、そういう階級の生まれ育ちであったが見える
不本意な境遇を強いられ、レーゲンスブルクを否応無しに離れた可能性が考えられるんだよ




「わたしは、ただ…ただ、ほんのちょっとの幸福が欲しかっただけなのに!
復讐心と欲望に目が眩んで、一度でもあんな男に力添えを頼んだのが間違いでした
ユリウス、あなたがいるという事だけで十分だったはずなのに、わたしは…わたしは…
神様のお裁きです、罰が下ったのだわ…」




レナーテも15年後には、自分の愚が何かは認めるまでには成長したを示す
20歳前後の、これと特技無いまま、飽きた玩具の如く捨てられた若い女性に、同じ事を要求するのが酷よ
「レナーテ支援ブログでもやったら」管理人が、爺さん介護まで軽く考えたのには呆れた
介護職員も同じ苦労してるんだみたいな論調だったんだわ
介護職員が苦労してるのは事実だが、敢えて反論言えば、逃げようと思ったら仕事辞められるわな
在宅介護の苦労を否定するわけじゃないと言いながら
そりゃ、アーレンスマイヤ家の財力を持ってすれば、若い後妻が直接手がける必要も無いけど
可愛いユリウスの父親だからだろうと、財産狙いだろうと、女ざかりの36歳の女性がなかなか出来ないを
「自分だけが苦労してると思うなよ」と非難するなど、在宅介護を否定してるに等しいじゃねーかよ
自分の身内や知り合いに同じ事言ってる宇宙人の匂いを嗅ぎ取ったぞ
前に書いたよね
「確かにアナタの介護苦労はわからないが、相手の苦労がわからないはお互い様
苦労内容は皆異なるからと、相手の愚痴すら許さない介護人や経験者も、逃げ場持つ宇宙人だ」
思わぬ脇の甘さから、知能指数知れたもんだと言ってやる
当所は、別にレナーテ大応援団じゃないものの、何を主張しようがアタシの場所だ、問答無用よ
ちゃう?




脇の甘さといえば
「復讐心と欲望に目が眩んで、一度でもあんな男に力添えを頼んだのが間違いでした」の、あんな男とは?

ゲルハルト・ヤーン
ユリウスの主治医と称している人物であるが、実はモグリ(無免許)の偽医者。
レナーテが妊娠した際に頼った人物であり、ユリウスの性別偽装に加担。そのことをネタとしてユリウス母子をゆすりつつ、主治医と称してアーレンスマイヤ家に住み込む。

性別偽装なんか一生有効であるわけない事くらい承知のはず
レナーテが女主人といえど、アーレンスマイヤ家の財産を好き勝手に動かせない事もだ
にも関わらず
ユリウスの主治医としてフランクフルトから同行して来た
ちょっくら細工してサッサと爺さんをあの世送りにせよと、レナーテに迫る
欲深いにしては脇が甘い、謎だらけの男
国家警察の男によれば、アーレンスマイヤ家に探りを入れていたらしい
ユリウスを生涯苦しめる『真冬の殺人』記憶の元凶であるが、レナーテも巧妙に誑かされた気がする




…ロベルタよりは遥かに頭イイが学は無い、上品偽装は楽勝ながらも品の悪さはロベルタ級
そんなmathichenさんでさえ、レナーテが清廉潔白とは言わないが犠牲者がわかるのにねぇ




最後に、ひたすら独白をば(恐らくネタバレとなる)




レナーテに、ほんの少し、勇気が欲しかった
「ヴィルクリヒ先生に、クリームヒルトの正体を明かしていれば、ヴィルクリヒ先生が救われたのでは」
アーレンスマイヤ家のお茶会で明かすのは、目撃者多過ぎて無謀
カーニヴァルの夜の、雨降る街角での邂逅、あそこで無理だったかのねぇ
あんまりポカーンと見つめ合ってるもんで、馬車から目撃したマリア・バルバラ姉様の嫉妬を買ったじゃないの
ヴィルクリヒ先生への片想い募るあまり、アレコレ脳内変換して、銃持ち出す物騒な姉様だぜ
出来るだけ早く、クリームヒルトが、現アーレンスマイヤ夫人が知れる
それは、復讐に燃えるエルンスト・フォン・ベーリンガーの破滅を防いだと思える
ユリウスに魔の手を伸ばしながら、彼女にクリームヒルトの面影を見出して引っ込めるでしょ
18年もの間ひたすら、クリームヒルト想ってる純情な男を考えましょ
愛と復讐の両立は不可能を悟り、引いては、ヤーコプも救えた気がする
ヤーコプがアネロッテ姉様に一生こき使われるのは火を見るより明らかだけど
そのアネロッテ姉様、あんな悪女殺されたって、アーレンスマイヤ家経済状態を好転させるから有り難いけど
ユリウスに罪を重ねさせ、ヤーコプに復讐される末路が決定するを思うと
クリームヒルトの正体が早く知れていれば、無駄に死ななくていい皆救われたのが惜しい
そう言ってしまったら、勇気持てなかったレナーテの罪が深く感じられる?
正体を明かす決意をしながら、アーレンスマイヤ夫人が指定した約束場所で呑気に佇んでいたため
オルフェウスの窓から、必ず悲劇に終わる恋人同士の転落死を迎えた
言わば罪は贖った事になる、言うだけ言わせてよ




あ、記事題名ね、再生の意味を持つ女性名前Renateから思いついた~