mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

聖俗併せ呑んで、光と影の真実が隠される遥かなる国へ

3連休?んなもん関係あるかい
予定もどきがいくつか入ってる来月に向け、体力とカネの温存が大事
と言いながら、体力使う音楽聴いたので、若年性認知症もどきの、わかる人がわかればOKの備忘録をば





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新国立劇場オペラ「ローエングリン」ダイジェスト映像(2012年公演)
         -2016年5月26日再演-         
ドイツ国王ハインリヒ(バス):アンドレアス・バウアー
ローエングリンテノール):クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ・フォン・ブラバント(ソプラノ):マヌエラ・ウール
フリードリヒ・フォン・テルラムント(バリトン):ユルゲン・リン
オルトルート(メゾ・ソプラノ):ペトラ・ラング
式部官(バリトン):萩原潤
四人のブラバントの貴族(テノール):望月哲也
四人のブラバントの貴族(テノール):秋谷直之
四人のブラバントの貴族(バリトン):小森輝彦
四人のブラバントの貴族(バス):妻屋秀和
第一の小姓(ソプラノ):前川依子
第二の小姓(ソプラノ):熊坂真里
第三の小姓(メゾ・ソプラノ):丸山真木子
第四の小姓(メゾ・ソプラノ):松浦麗
(合唱)新国立劇場合唱団
(合唱指揮)三澤洋史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団
(指揮)飯守泰次郎




15日の金曜日、NHK-FM午後2時~6時‘オペラファンタスティカ’で放送
真っ昼間から4時間もラジオ聴いてられないってんで、DAT録音した
4年ぶり再演は5月23日初日だから、2回目公演が音源ね
舞台見えなくて構わない向きには助かる日本放送協会乙カレ様でした
YouTube見る限り、ケッタイな物は舞台に転がっていないよう
だけど、衣装担当ロザーリエが
1994年~1998年にバイロイト音楽祭で上演された、アルフレート・キルヒナー演出♪ニーベルングの指環
そこで衣装担当したロザーリエと同一人物であれば、アタシゃ怖過ぎる
新国立ローエングリン演出したマティアス・フォン・シュテークマンの御母堂、ソプラノ歌手・花田夏枝女史
合唱団を離れた後もバイロイトに出入りし、ロザーリエを目の当たりにしたが
「街を歩けば、目に付いた物を片っ端から、工事現場の看板みたいな物まで持って来る
着てる物はマトモ?そーですかね?何にせよ、ロザーリエなんて、野放しにしちゃダメよ」
20年前、NHK-FM年末恒例のバイロイト特集にゲスト出演した折、音楽学者・三宅幸夫
細かい注文に音を上げたバイロイト縫製室のオバちゃんたちを代弁していた
その記憶が鮮明であるため、FMで十分なのよ(ウチのFM、雑音無しで聴ける)
新国立劇場が観やすい箱、それは、一昨年の♪パルジファルに行って確認済みだし




出演歌手を見ると




題名役、あら嫌だ、アタシの苦手なクラウス・フロリアン・フォークトだ
10年前NHK-BSで観たバーデン=バーデン祝祭劇場での同役に眩暈起こした記憶が蘇る
2013年春、東京・春・音楽祭♪ニュルンベルクのマイスタージンガー
ヴァルターは軟弱騎士だが、歌手が軟弱だと途中で交代する率高い長丁場を軽々と乗り切った
持久走に耐えられる力持つのは認める
駄菓子歌詞だ、声が公家さんの白塗りノッペラ顔みたいな印象、完全には払拭出来ん
誰か、太古のジェス・トーマス以上に顔も声も強力男前な白鳥の騎士を、アタシの前に連れて来てッ
蛇足ながら、高身長の割に足は短い白鳥の騎士、意外と大好き♪
R. Wagner: Lohengrin - Final first Act - Bayreuther Festspiele 1982
(この3,4年後にメトロポリタン歌劇場で歌った映像の方が、衣装のせいか足の短さを強調してたけどね)




エルザを歌ったマヌエラ・ウール、声聴いたのは初めて
英国Opera誌批評にはよく名前を見ており
影のない女’皇后、‘サロメ’題名役、‘ばらの騎士’元帥夫人の他
エレクトラ’クリソテミス、‘ダナエの愛’ダナエ、‘ダフネ’題名役
R・シュトラウス歌手の印象を持っていた
ワーグナーでは、エルザの他に
タンホイザー’エリーザベト、‘さまよえるオランダ人’ゼンタ、‘ワルキューレジークリンデ
エレクトラ題名役のようなクソ重たいHoch-Dramatisch Sopranへは進まず
手前のDramatisch Sopran、もっと若々しいJugendlich-Dramatisch Sopranは網羅すると思う
四半世紀前の全盛期チェリル・ステューダーに鉄骨入れて強化した、透明感持つ声である
これは個人的希望ながら
神明裁判によって無実が証明されてから、第二幕オルトルートが目の前に現れるまで、何の不安も無いエルザ
ローエングリン第一幕フィナーレ部分は、能天気に歌ってもいいよ
エルザがそもそも、良く言えば純粋無垢、悪く言えば頭があまりryだからね




悪役夫婦の亭主、テルラムント伯爵
これまた独断と偏見ながら、ドンピシャリの歌手見つけるの難しい
【歌手の世界に於いても、神々の黄昏?】(2014年4月16日)

グンターという役がそれだけ、難しい役だと言いたいの
お膳立てして貰った栄誉を得ようという、女々しくセコイ、人間の持つ弱さを示す男である
ショルティ指揮盤で歌ったディートリヒ・フィッシャー=ディースカウも主張していた
しかしながら、豪族の家長務まるだけの恰幅も兼ね備えている必要大きいよ
容姿、演技力、三拍子揃えば文句無し。ブッサイクな大根でも、歌で説得力持たせれば合格
と、言うは易しだが、グンター適役って本当少ないと思う

テルラムントにも通じるよ
先代ブラバント公の信頼を得て、世継ぎだがいまだ幼少のゴットフリート王子に代わり摂政を務める
王子の姉君エルザとの婚約も許された
ブラバント公国に於ける名家の生まれにして、家名に恥じぬ人望と実力の持ち主を意味するよね
第二幕第五場、女同士が揉める所へ、ハインリヒ王と騎士がやって来る場面
テルラムントは群衆に向かって騎士が魔法を使っていると告発し、名前と素性を明かせと迫る
この場面、「罰当たり者め、消え失せろ!」と騒ぐ群衆を、一時的にも黙らせる力がテルラムントに要るので
嫁の言いなりでスットコドッコイの風体や声じゃ説得力おまへん
嫁の言いなりというのも、超のつく善人であるが故にと換言出来よう
それなりの風体と声、尚且つ、歌う顔は八の字眉と情けないファルク・シュトルックマンがやっぱお似合い?




テルラムントのどこが、超のつく善人か?
その答えは…
エルザとの婚約を破棄し、オルトルートを嫁に貰ったテルラムント
「お代官様、ちょっとお聞き下さいまし。エルザが、ゴットフリートを殺したんですよ。アタシゃ見たもんね」
オルトルートの訴えに起因するを考えてみましょ
オルトルートについて、昔、日本ワーグナー協会会員と話した時
「mathichenさん、エルザとオルトルート、どっちが美人と思う?」
「オルトルートやろ。美人いうより、小便臭いコギャルには無い熟女の魅力持つというか」
「だよね。ボクも、オルトルートに惚れそう~」
「オルトルートには、信頼に値する風格なども見られるしね」
魔法を使える孤高の存在に、信頼に対する風格?
第一幕第一場、テルラムントがハインリヒ王に、ブラバント公国政情不安を説明する場面を思い出すべし
説明途中、オルトルートを王に「フリースランド公の姫君」と紹介し、王も姫君への礼儀に基づく挨拶を返すね
土着信仰が駆逐され、すっかりキリスト教化した10世紀ブラバント公国領内に
忘れ去られたゲルマンの神々信仰を守るが故に、異端の存在として暮らすオルトルートであるものの
キリスト教国家にとっては、抜きたいトゲが根深く刺さっているようなものとはいえ
言わば新参者であるエルザより遥か格上の旧家に属するとなれば、それ相応の礼儀は払われると考えられる
日頃の近所付き合い持たないだけであって、村八分とかは見られないんだよ
そう考えると、「お代官様、ちょっとお聞き下さいまし」をテルラムントが拒まない意味がわかるし
エルザ有罪の具体的証拠が何も無いのに、信憑性持たせるオルトルートの風格もわかる
ま、第二幕第一場、夫婦喧嘩の場面
決闘に敗れた自分が追放処分になる事、エルザに弟殺しの罪を着せるようけしかけたのはオルトルートである事
嫁に悪態をつくテルラムント、盗人にまで罰当たり者扱いされる転落ぶりに、さすがに懲りたやろと思ったら
「騎士が決闘に勝ったのは魔法を使ったためであり
名前と素性を言えと迫られるか、あるいは体の一部でも切り取れば魔法が解ける」
またまた嫁に乗せられると来るから、どんだけお人好しやねん
一説に従えば、「ウダウダやり合う中に、嫁が『神』という言葉を使ったのが決め手」
キリスト教徒であるテルラムントにとっての神は言うまでもあるまい
とにかく異教徒が、神を口にする事がテルラムントにすれば意想外
唯一無二の神を信じない異教徒が神を口にするを見て、テルラムントに油断が生じた
こうなれば、頭回るオルトルートの飛んで火に入る夏の虫
オルトルートは亭主の信仰心を巧妙に操り、細工は隆々仕上げを御覧じろって所か
「自分に答えを要求出来るのはエルザ唯一人」
騎士が宣言し、エルザも騎士の戒めを守る事を高らかに宣言したため、一見、敗北に見えるも
エルザの心に疑念を見て取ったオルトルートには、第二幕は負けるが勝ちよ?




新国立で歌ったユルゲン・リン&ペトラ・ラング、細かい好みは置いといて、適役かしらね
ラングの方は、フォークトが歌ったバイロイトの鼠だらけローエングリンに出演していた
今年のバイロイトには、イゾルデで登場かい
指環のブリュンヒルデも全部持ち役に入ってるし、本来のメゾ・ソプラノから徐々にソプラノ化しつつある
ただ大声量じゃないから(少なくとも、読売日響パルジファルでのクンドリ聴いた2002年当時は)
指環のソプラノ役では、一番低いジークリンデに留まり
やっぱ低音域が物言うイゾルデ、メゾとソプラノの両方が歌えるオルトルートとクンドリを中心にがいいような?




悪役夫婦の部分で疲れ果てたから、他の歌手と指揮者は割愛する
その代わり、1997年頃に読んだOpera誌の備忘録をば




パッサウだか、デッサウだか、ドイツの小歌劇場でのローエングリン新演出に
ヴォルフガング・ワーグナーの勘当息子、作曲家の曾孫であるゴットフリートが登場した
現在のバイロイト総領カタリーナから見て、父親のような年齢の異母兄ね
Opera誌は当然ながら英語のため、ローエングリン評のほとんど頭から抜けている
ただ、re-Kidnapping、この単語はいまだ、記憶に刺さっている
ローエングリンの物語で誘拐の対象となるのは、ゴットフリート王子
オルトルートに誘拐され、魔法で白鳥に変えられた
騎士が聖杯騎士ローエングリンを明かし、聖杯城へ帰る際、来た時と同じく白鳥の曳く小船が現れる
その白鳥こそ王子だとオルトルートが暴露したら、聖杯城の予定が変更となり、その場で人間に戻るんだけど
…聖杯城ってさ、白鳥王子を保護したんじゃなくて、誘拐したんでねーかい?
ゴットフリートが行方不明になってからの月日は不明
そんでもさ、聖杯城に於いて短期集中講座、何らかの洗脳が施されていたって不思議じゃない
というのも、演出家の方のゴットフリートが、「人間に戻った王子が、姉を殺す」てな解釈を示したからよ
先代が亡くなって以来、世継ぎ行方不明も加わり、政情不安なブラバント公国
それらの全てを、オルトルートの悪を含め、聖杯城は掌握しているものの
ゴットフリートの教育(洗脳)が時機を熟したと見るまで、エルザ保護者を兼ねて誰か送り込む必要があった
聖杯城にすれば、禁断の問いを発したエルザは言うなれば、恩を仇で返したに等しい
聖杯城の意を汲むゴットフリートが、姉を文字通り斬り捨てたって、むしろ大絶賛されるんじゃないかい
詳細を思い出せない以上、ワーグナー家のゴットフリート演出はここで置くけど




オランダ人以降のワーグナー作品で死人が出ないのは、マイスタージンガーのみ
もっとも死人出る作品にも、救済与えられる登場人物は多く見られる
唯一つ、解釈はいろいろあるが、誰も救われないローエングリンを除いてね
指導者を失ってゴタゴタするブラバント公国は、本来の指導者が戻っても果たして?
ゴットフリートが腹黒王子じゃなくても、まだガキだし、どーすんだろ


1980年代のバイロイト、映画監督ヴェルナー・ヘルツォーク演出では最後
ボケッと立つゴットフリートの目前で、エルザがオルトルートに手を伸ばし、オルトルートは応じる
女同士が和解するんだったら、ブラバント公国に今後、何が起きるの!?
この演出に於ける雪は不安の要素みたいな扱われ方なもんで、幕下りた後が気になる~




…支離滅裂な幕切れを迎える当記事を許して
音だけ聴いての感想文でこれなんだから、舞台観てであれば、もっと酷いはずだし(居直り)