mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

一夜の聖餐が人生の正餐に非ず

どんなにオナカ調子悪くたって、美味い物食いてえ~と考える輩
真夜中にゴチソウ想像した結果、一番思い出したらアカン映画を回想してしもた
それが、同時刻二本立て時間指定投稿の理由である




デンマーク映画バベットの晩餐会’(1987年)
日本公開は、1989年2月18日
大阪では、いまは亡き北浜の三越劇場上映であった
阪神淡路大震災前、三越百貨店大阪店最上階にあった映画館で
あまり一般受けしないが通好みの文芸映画を選りすぐって上映していた
綺麗なおねえさんがガラガラと開閉する古式豊かなエレベーターにはボッティチェリの春の絵が描かれており
絨毯は古びているが足に心地良く、アタシゃ勝手に古きパリの風情を堪能していた
バベットの晩餐会’の頃だったと思うが、集客率日本一の映画館に輝いた事を記憶する
三越劇場知らなきゃ、モグリだよ、映画語るなの勢いであった




バベットの晩餐会’で好きな場面を挙げると








フィリッパに歌手の才能を認めたムッシュ・パパン
モーツァルトの♪ドン・ジョヴァンニから、村娘ツェルリーナを口説く♪お手をどうぞを練習曲に選ぶ
歌が歌だけに、隣室に控える父親と姉の居心地悪さたるや、「だからフランス野郎は信用ならねーんだよ」
いつまで抵抗者やねんの厳格なプロテスタントから見たら、懺悔すりゃ万事許されるみたいなカトリックだしな
フィリッパが求愛を断り、パパンの歌姫作り計画は頓挫するも、宗派の新旧を超えた神様のお導きであろう
「貴女は賢明でした。名誉なんて儚いものです」、革命により社会的地位も何も失ったパパンの存在あればこそ
バベットが姉妹に救われ、一世一代の晩餐会が実現したのだから面白い




思い出したついでに、音楽面での備忘録しとくと




パパンを演じたジャン・フィリップ・ラフォンは、本物のオペラ歌手でして、映画でも自前の歌声でございます
フランス物が主ながら、ワーグナーR・シュトラウスのドイツ物も歌っております
バイロイト音楽祭で1999年に初演されたキース・ウォーナー演出の♪ローエングリンに出演
その時のDATテープ持ってるから、久しぶりに、嫁にイジメられるテルラムント伯爵聴いてやるべか~




フィリッパの歌は吹き替えですが、誰の声か当てたら、アナタは重症のワーグナー狂保証致します
答:「デビューして日が浅い頃のティーナ・キーベルク
1990年代前半に、♪タンホイザーのエリーザベトでバイロイト登場
独特の音響が助けとなるはずの空間に声響き渡らず、非力という声が聞かれた
1993年だっけ、FMで聴いたら、よほど不調か、金切り声に近かった
1994年、アルフレート・キルヒナー新演出の♪ニーベルングの指環ジークリンデで登場を聴くと
同じデンマーク人のエヴァ・ヨハンソンが、10年後、ユルゲン・フリム演出に登場した時の印象と同じく
「歯の噛み合わせ悪いのでなけりゃ、役の声域が低過ぎ、シャクレ声となる」
1997年、ベルリン国立歌劇場日本公演で聴いた時は影薄くて、記憶にほとんどございません
かなりの長身なのが、これまた同国人のポウル・エルミングと共演する時に強みだったかもね
キルヒナーのワルキューレ第一幕、霊剣ノートゥングをトネリコの木から引っこ抜く場面
ジークムントに後ろから手を回し、兄妹で力合わせてエイヤッ!と引っこ抜くんだけど
155cm切るmathichenさんが天を仰ぐ格好の雲つく大男であるエルミングに釣り合う女性そうそういない
他の歌手でやれば、彼の臍辺りでなくもっと下辺りに触れちまうチン事が発生し、マズかったと思われる




オナカ空いて来たので、気分だけバベットの晩餐会に出席すると




1. ウミガメのコンソメスープ
アペリティフ(食前酒):シェリー・アモンティリャード

2. ブリニのデミドフ風(キャビアサワークリームの載ったパンケーキ)
シャンパン:ヴーヴ・グリコの1860年

3. ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風 黒トリュフのソース
赤ワイン:クロ・ヴージョの1845年物

4. 季節の野菜サラダ

5. チーズの盛り合わせ(カンタル・フルダンベール、フルーオーベルジュ

6. クグロフ型のサヴァラン ラム酒風味(焼き菓子)

7. フルーツの盛り合わせ(マスカットなど)

8. コーヒー

9. ディジェスティフ:フィーヌ・シャンパーニュ(コニャック)




牧師家の姉妹が、生きてるウミガメ見て、夜中うなされるわ
悪魔に喰われるのではと、父親の弟子たちとビビるわ
無理おまへん
スープ皿の左右に持つ所ある場合、残り少なくなるとスプーン使わず飲んでいい、皆様ご存知よね
弟子たちはテーブルマナーなんて知らんし、将軍の真似っこする
ウミガメのスープ皿持つ手が震える爺さん、あれは悪魔の恐怖プラス経年劣化のせいと推察される




2015年現在の円相場だといくら費用かかるか知らんが、映画公開当時には確か、一人数十万円辺りコース
その価値わからんジジババたちのおかげ様で、酒瓶独占出来た将軍ラッキー☆
給仕の少年にまだ残ってるかを尋ね、将軍の価値わかるバベットが喜んで瓶ごと置いて来てと言い付けるのよ
将軍とて毎日晩餐会メニューじゃあるまい、高級酒独り占め嬉しかったろ
なお、おこぼれとはいえ飲み食い出来た、給仕のガキと手伝いオヤジ、この二名は殴りたくなる




美味を堪能すると、黙っていても皆ニコニコし出すもんだ、そりゃわかる
わかるけどね
一生一度の僥倖に感動のあまり、出席者のジジババ、その後、日々の粗食に耐えられたか気になって困る
というのも
バベットが晩餐会準備のため留守中、姉妹が代わりに料理し、貧しい村人たちへの配食を行った
元々、姉妹の仕事であり、村人たちもそっちの付き合いが長く慣れてるはず
なのに、バベットも姉妹の教えたパンをビールで煮るんだったかを作っていたにも関わらず
同じ物作ろうと、成育環境の好悪に影響される調理水準、味覚の違いが現れるものという証明として
姉妹が帰った後、スプーンですくって「不味そう~」てな表情の爺さんいるのを見ると
「雑魚にはやっぱ、貪欲は罪。無駄使いランパスも贅沢。メシマズ嫁料理だけで生きとけ」と言いたくなる




上段最後の行の悪態、三越劇場に於いて、アタシの一つ置いた左隣席の大学生風に言いたい~
開映前に腹ごしらえの中身がマクドでも別にいい
エッグマフィン辺りが手頃でさ、アタシもちょくちょく買って映画館に持込みしてたわ
終映後、マクドの袋置いたまま席立ったのは、自分のお粗末ぶりに唖然ボー然となったのやら
どお見たって、高級料理とは無縁のカップラーメン主食顔だったのよ
にしてもだ、人の分までゴミ捨てたアタシを見習えッ
もお50歳辺りだろうが、ワンコイン亭主にすらなれんショボイ末路歩んでる?
「これから宅飲みします♪」と半額品一人晩餐会記事を、ヤホー投稿してる気がする今日この頃である