mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

十人十色が七変化に塗り分ける未来の銀幕

今年4月30日、サイゴン陥落40周年を迎えた
陥落の14年後、1989年9月20日に、ミュージカル♪ミス・サイゴンが、ロンドンのウエストエンドで初演された
オリジナル・ロンドン・キャストおよびオリジナル・ブロードウェイ・キャストに於いて
狂言回しのエンジニア役にはジョナサン・プライスが配されているが
アジア系俳優を配しなかったためか、フランス系の私生児という設定となっている
その他、アジア系民族に対する偏見が強いとして
ニューヨーク公演時にアジア系俳優を中心とした俳優組合からボイコット寸前にまでの騒動となった





イメージ 1





ミュージカル界のサイゴン陥落当時、神戸出身の日系アメリカ人俳優、マコ岩松
「アジア系がアジア系の主役を演じるのは当たり前だ。その当たり前が通らない
それが通れば、アジア系は、白人や黒人のいずれがアジア系をやっても、横取りしたと非難などしない
原理原則からいえば、ある民族集団が別の民族集団の役をやるのは
相互の身になり合う事で、多民族社会の融和の一助にもなる」
事実、彼が創設した劇団では、実践されていた
中国系が日本人役を演じ、その逆もあった。白人がアジア系を演じ、アジア系が白人の役をやった事もあった




配役の相互乗り入れについて、日本の大学教授は
「日本人もアジア人も、白人や黒人に肉体的コンプレックスを持ち過ぎる
日本では、マンガに登場する日本人は一部を除いて大抵、白人まがいの顔が描かれる
アメリカでは、痛烈な肉体差別を受けたアジア系、日系の描くマンガの顔は、完全にアジア系の顔をしている
日本人が大多数を占める日本にいると、人種に裏打ちされた厳密な肉体意識が徹底しないからである
『ワタシ、外人みたいってよく言われるの~』という無自覚な台詞を、何万回聞かされた事か
あらゆる分野で有色人種に対する優越感を崩されつつある白人にとって、『白人の肉体』が最後の砦であり
演劇が肉体を表現手段とするだけに、アジア系の役でもアジア系が演じる事に痛烈な拒絶反応を起こす
ミス・サイゴン事件は、基本的にはその悲しい事実を再び想起させた
全てを乗り越えるには、アジア系俳優が大手を振って
アジア系はもとより、白人や黒人の主役を演じられる日が来る事を抗議し続けなければならいのである」




My Geisha - Trailer




‘青い目の蝶々さん’(1962年)
シャーリ・マクレーンが、旦那さんのプロデュース作品に主演した
旦那さんは一時、日本に住み、奥さんも滞在中は、東京下町オバちゃんと変わらぬ格好で買い物していた
日本でオメデタなったので、小森のオバちゃまに、「ハッピーな日本語名前お願い~」と娘の命名を頼み
Blessed Childを意味する“幸子”にちなんで名付け、愛称『サチ』
( * サチは、正式には、Stephanie Sachiko。誕生地も、アメリカ。2歳から6歳までを母とアメリカで過ごした
その後、6歳から12歳までを東京に住む父親の下で過ごし、学習院初等科に通っていた)
…ま、風貌といい、雰囲気といい、日本にも結構いるタイプで、そう異和感おまへんが




青い目の蝶々さん、韓国美女によるパリの高級娼婦
劇場空間でのオペラ舞台ならば、細かい部分は差し引き、足りん所は想像で補える
しかしリアリスティックな映像芸術に於いては、東は東、西は西の民族集団に束縛受ける





早川 雪洲(はやかわ せっしゅう、本名:早川 金太郎(はやかわ きんたろう)、海外名:セッシュー・ハヤカワ(Sessue Hayakawa)、1886年6月10日 - 1973年11月23日)は、日本の俳優。千葉県出身、1907年に21歳で単身渡米し、1910年代に草創期のハリウッドで映画デビューして一躍トップスターとなった。日本人排斥運動や二度の世界大戦、私生活での混乱などによるキャリアの中断を挟みながらも、晩年の『戦場にかける橋』(1958年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど半世紀以上にわたって活躍した国際的映画俳優である。妻の青木鶴子もまたハリウッド草創期の人気女優。

Wikipedia早川雪洲より引用 )





小男俳優救世主ざます
172cmくらいと、当時としては十分大柄な日本男児だったんだけどね
ラブ・シーン撮影時、男優が台の上に立つ事を「セッシューする」と呼ばれるようになった
やいトム・クルーズ、台を接収されたら困るやろ、セッシューさんに感謝しやがれよ
( * ちなみに、女優の足元に穴掘って釣り合い取らせたのは、180cm超えのブルックーシールズ)




英国出身の新進女優ルース・ノーブルと愛人関係になり、子供を産ませた事が
スキャンダラスに報道され、セッシュー人気急降下となる辺りに、白人の二重基準を見て取れる
不道徳的な目的で女性を国外に連れ出したり州間を移動させたりする事を禁じたアメリカの法律『マン法』
これには、「白人女性を占領するべからず」が込められていた
「白人との結婚は法で禁じられ、当時の中国人男性からは結婚相手には相応しくないと敬遠された」
中国系アメリカ人女優アンナ・メイ・ウォンに通じる、偏見と差別が見える




草創期のハリウッドのスターとして「悲劇のハヤカワ、喜劇のチャップリン、西部劇のハート(ウィリアム・ハート)」
白黒で無声時代だった事が、セッシューさんに巧く作用したのではと思われる
白黒だと、色彩よりは人種的特徴の束縛少ない。撮影中口を動かすにしたって、日本語でダジャレ叩ける
白人だが、ハンガリー訛りが酷いみたいな理由で、トーキー時代に入り没落した俳優多かったを見れば、ね




セッシューさんが晩年、アカデミー助演男優賞にノミネート‘戦場にかける橋’(1958年)といえば
ニコルソン大佐を演じた英国の名優アレック・ギネス、この人が、扮装の天才でもあった
アドルフ・ヒトラー 最後の10日間’(1973年)、これは元々、総統さんに似てるので除外すると
‘インドへの道’(1984年)で演じたProfessor Godbole、インド人役には、インド人もびっくり~と真に迫っていた
冷静に考えると、インド人もアーリア人種だよねってんで、これまた別物としといて




白人は白人なりに、それぞれ民族的悩み抱えてるだろうってんで、一方的にイジメないよ
『白人』の括りに入る俳優陣を見ると、民族性なんて実の所、多民族国家には曖昧模糊なものだ…




ベン・キングズレー
ガンジー’(1982年)の題名役
本名:Krishna Bhanji
父はインド人の医師、母はイギリス人のファッションモデル・女優
父はケニア生まれで、先祖はイギリス領インドのグジャラートからやってきたイスラム教徒だった
守備範囲は広く、TVドラマでは、アンネ・フランクのお父さんを演じた事もある
Anne Frank: The Whole Story Part 18
…よう似とるけど、ユダヤ人が適役って、ご先祖様に叱られなきゃイイか…




F・マーリー・エイブラハム
アマデウス’(1984年)のサリエリ
本名:Fahrid Murad Ibrahim
シリアからの移民の父親と、イタリア系アメリカ人の母親の間に生まれる
シリア正教会に属するキリスト教徒である
本名のままじゃ、テロリスト役しか来ないだろうと、F・マーリーと民族不詳に変えた




ポール・ニューマン
ハンガリーユダヤ人の父・アーサーとカトリックの母・テレサとの間に生まれる
両親は子供たちに、自分たちの信仰とは別の、クリスチャン・サイエンスを勧めた
しかし子供たちは、ユダヤ教キリスト教を超えて結ばれた両親を見て、一つの宗教に帰依はしなかった
ポールは自分をユダヤ人と言う理由について、「その方がチャレンジングな人生になるからだ」
1977年、イスラエル飛んで、建国30周年記念式典に登場したほどだもん( * 時代背景考えてみよ)




ハリソン・フォード
父親がアイルランド、母親がロシア系ユダヤ
この組み合わせ、ユダヤ教の観点からは、ハン・ソロ船長はユダヤ人になる
実際の所、どーなのか?




ゴールディ・ホーン
父親はイングランド系、母親はハンガリーユダヤ
父方は、アメリカ独立宣言の署名者に名を連ねたほどのエスタブリッシュメント
だが娘は、母方のユダヤ系にアイデンティティを求めた
ユダヤ系であるという事は、常に存在意義との葛藤のよう




カーク・ダグラス
本名:Issur Danielovitch
帝政ロシア(現ベラルーシ共和国)の移民、ダニエロヴィッチ夫妻の子
夫妻は先に渡米していた兄が身元引受人となって移住した際に
その兄に倣って”デムスキー”という苗字を名乗っており、カークも”イジー・デムスキー”として育つ
徴兵時に戸籍上の本名を、後年芸名に使うカーク・ダグラスと改めた
一時は、Issur Danielovitchを完全に捨て、ユダヤ系である事を隠して生きようとしたが
彼の出自を知らない人々が他のユダヤ系を差別するのを見るうちに、ユダヤ系としての存在意義に目覚めた




ジョディ・フォスター
父親は日本人と再婚したと書いといて
本名:Alicia Christian Foster
数の割に目立たないドイツ系の一人
民族性打ち出すのが常識となり、WASP幻想が全能でなくなった現代には、イングランド系は戯画的扱いとも
西欧・北欧系自体、支配層というのは他民族との軋轢や葛藤少ない分、他よりハングリー精神に劣るせいか
ジョディさんもかつて、「ウッディ・アレン映画出てみたいけど、無理よね」
Shadows and Fog (1991) Trailer
出たけど、遊郭の一角、影と霧に隠れちゃ物足りねか?
仏蘭西美女ヴァネッサ・パラディが、黒服ラビ未亡人役出来るんだから、ユダヤ性強い役編み出して貰えば?





スコット・フジタ(Scott Anthony Fujita,1979年4月28日-)は、カリフォルニア州ベンチュラ出身のアメリカンフットボール選手。ポジションはラインバッカー。

白人だが、生後6週間で間もなく日系三世のロドニー・フジタ(真珠湾攻撃後にアリゾナ州強制収容所で生まれた。)、妻のヘレン(白人)に養子として引き取られたため、姓は日本風のものになっている。家では日本語、日本食で育てられ、日本の正月やこどもの日にこいのぼりを掲げるといった習慣で育った。彼は食事を箸で食べる。彼の祖父母は盆栽を育てており、彼自身は自分を日本文化の中で育ったと認識している。スコットは自分の家族が日系人であることから学校でひどくからかわれた事について、非常にいらだっていた。

Wikipediaスコット・フジタより引用 )





「僕を産んでくれた、18歳くらいの白人少女には感謝しています
でも僕は、日系人ですよ」
ここまで民族性超えるのも色違い養子縁組多い欧米には珍しくないだろうが、別の話として




外見は白人だが、黒人やアジア系の血を引くかも知れない
完全にアジア系の容姿だが、親の片方がスウェ-デン系みたいな例ゴロゴロ転がってる
それを考えれば、映像芸術に於いても、配役の相互乗り入れがある程度可能の根拠だと思いませんかね
アメリカ映画のみならず、決して単一民族国家でない日本の作る映画にもね