mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】

~midnight dribbler~(ウサギ畑でつかまえて)

「私のマンガ大賞」は、コレ:ベルサイユのばら~新しい運命の渦の中に

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1975年秋から翌1976年春にかけて揃えた‘ベルサイユのばら’ 全10巻
35年後、バラバラでボロボロの装丁に成り果てました
 
 
アタクシは、1975年の小学4年生当時
教育実習生おねえさんを送る会のベルばら劇においてポリニャック伯爵夫人を演じましたが
ポリニャック伯爵夫人といえば、権力志向の塊であり
王妃マリー・アントワネットのお気に入りNo.1にまで昇りつめた、何ともヤな役回り

 
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何しろ、若い娘がお好きなド・ギーシュ公爵に、ようやく11歳を迎えたばかりの娘売り込み成功ですからし
当の娘シャルロットは、もちろん不安と恐怖に襲われ
「お母様…ごめんなさい
今度生まれてくる時は…もう…貴族なんかじゃない所にする…わ…
ほんと…よ…貴族なんかじゃない所に…」
やがて自ら命を絶ってしまいます
 
 
普通の神経を残す親なら、これで懲りるはず
が、さすがはフランス王妃をも支配する、悪の女王様であるポリニャック伯爵夫人だ
15歳の少女時代に生み落とし、同情してくれた恋敵に育ててもらった娘ロザリー
パリ下町からジャルジェ将軍の家に引き取られているもう一人の娘に目をつけるときた
知らなかったとはいえ恋敵を馬車で轢き殺し、ロザリーから恨まれてるのも何のその
王妃が首飾り事件の渦中へを見るや、真の忠臣である(つまり目障りな)オスカルに濡れ衣着せようと
だが、ロザリーが自分の言うことを聞けば、黙っていよう、これすなわち取引を持ちかける性悪
 
 
ロザリーはオスカルを守るため、ポリニャック伯爵家へ引き取られていきました
しかしながら、死んだシャルロットの代用品にすぎないと知ると
出奔して、生まれ育ったパリ下町へ帰り、野菜市場で働く日々を送ります
そんなある夜、外で物音がするので見たら、黒い騎士絡みで傷ついたオスカルがバタリ倒れ込んできた
介抱し、食事をふるまうのですが…
 
 
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野菜の切れ端が浮いてるだけのスープ、これが食事だというのか…!?
とりどりの前菜や何種類ものスープに始まる、焼き肉食べ放題♪も吹っ飛ぶ主菜・デザートの数々
貴族階級の食事が常識なオスカルには、そりゃ信じられんお話ですわな
その反応を見たロザリーは、「すみません。お口に合わなかったんですね…」
「ごめんなさい…でも、もうパンも何もないんです。ごめんなさい…」
 
 
涙ぐんで謝るロザリーに、オスカルは「ロザリー、何故、お前が謝るのだ」
「わたしは、いま、自分がどうしようもなく恥ずかしい
何もかも知っているつもりでいた
与えられた毎日の生活を当然のものとして受け止めてきた
自分と同じ人間が、このような食べ物で生きているなど、考えてみたこともなく」
「ロザリー、お前が小さな手をアカギレだらけにして手に入れてくれた食べ物だ
遠慮なくご馳走になろう」
 
 
この時点では、オスカルの革命意識はまだ目覚めていなかったでしょう
彼女が世の不平等をよく知り関わっていくのは、王室付きの近衛隊を辞職後
平民の多いフランス衛兵隊を率いるようになって以降
それでも、野菜の切れ端が浮いてるだけのスープ、これが彼女の価値観を覆したのは大きい
ほんの小さなものから、人生が180度変わり、広い視野の人間性に目覚めていったのですから
「神の愛に報いる術も持たない小さな存在であるけれど…
自己の真実に従い、一瞬たりとも悔いなく与えられた生を生きた
人間としてそれ以上の喜びがあるだろうか」
 
 
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バスティーユ陥落を目にして
「自由…平等…博愛、この崇高なる理想の、永遠に人類の堅き礎たらんことを…」
「フ…ランス…ばんざ…い!」
 
 
先に逝ったアンドレとともに生き残り、新しく生まれ変わるフランスで堂々と結ばれる
一番の幸福であったとは思うものの…